2004-01-01から1年間の記事一覧

ブービートラップ

ゲリラ側の攻撃手段のひとつに爆弾を用いたブービートラップがある。ベトナム戦争で多用されたものであるが、米軍側のあまりの犠牲者の多さのためにブービートラップを踏むパターンが解明され、マニュアル化された。医療過誤の防止策に通用する部分もあるか…

退院交渉のノウハウ

人質をとって立てこもった犯人との交渉技術は自分たちの領域でも応用できそうなものが多い。患者さんやご家族は犯罪者ではないし、要求が「病気が良くなること」であるうちは、医師と利害が相対することなどありえない。しかし、要求が「できる限りの入院期…

医者・医学のことわざ

医師は幸福な職業である。 太陽がその成功を讃え、大地がその失敗を覆い隠す。 今は全然違うけど・・・ 医学の歴史は数え切れない屍の上に成り立ち、 死に対して敗北のみの歴史である。 喰わないデブはいない。 CPC で正しく診断するための法則は、CPCでのみ…

急変に強くなる

病院で仕事をしていると、患者の急変、家族の急なクレーム、医療事故等予想し得ない自体が生じることはよくある。このときに人がどう行動するものなのかを知っておくと、万が一のときに役に立つ。災害時に見られる人間の行動には特徴がある。すなわち、人は…

過誤を減らす方法

失敗のメカニズム-忘れ物から巨大事故までエアバスA310墜落のケース。エアバスはコンピューターと人間が相反する操作をした場合、コンピューターを優先する設計だったことが災いした。ボーイングは逆。しかしどちらが究極的に正しいのかは分からない。思い込…

誰にも出来ない技術

大学卒業後に市中病院で研修。4年ぐらいお世話になってから一度外の世界を見てみたいと思った。それなりに忙しい病院でそこそこ働けるようにはなったが、他の病院の人たちに比べて自分がどの程度の医者なのか、この業界はそういった指標が何もない。4年目と…

人質交渉

人質を取った犯人との交渉のテクニックは、我々の現場でのさまざまな交渉ごと、たとえば退院を渋る家族の説得や、治療の結果についていろいろクレームをつけてくるような人との交渉にも応用できそうな気がする。ただ、そうしたノウハウを実際に公開している…

退院時の注意

全ての患者が良くなって退院してくれればいいが、内科はそうは行かない。特に高齢者の割合が増える一般市中病院の場合、家族の希望は出来るだけ長い期間の入院になり、もともとの病気が良くなったかどうかは関係なくなる。高齢者が入院すると、ほとんどの場…

警察からの紹介患者

民間の病院に長く勤めていると、刑務所からの紹介患者を受ける機会がある。警察組織にも医療刑務所はあるが、そこは17時以降は患者を受けない。受刑者が医療機関の職員を傷つけてしまった場合、その病院が公立病院であれば新聞が黙っていない。一方、受刑者…

医師国家試験対策委員会のこと

もう歴史を知っている人もほとんどいないと思うので。自分が経験したことも、国対委員の長い歴史のうちほんの1年だけなので、信憑性についてははなはだ疑わしい。黎明期、医師国家試験のセキュリティがまだまだ甘かった頃、試験問題を作った先生方の卒業試験…

高張食塩水による敗血症治療

Hypertonic saline resuscitation in sepsis 敗血症性ショックの初期には末梢の循環が悪化し、血液ガスが正常であっても組織の低酸素血症が生じる。これが引き金になり、炎症性サイトカインの分泌などを介して多臓器不全が進行、死にいたる。こうした現象を…

空気培養

MRSAが出ていると、近所の老健は患者を引き受けてくれない。肺炎で入院した高齢の患者さんから、お決まりでMRSAが出現、除菌してもなかなか良くならなかった。「そんなわけで、なかなか除菌できないのでそこの老健は取ってくれないかもしれません。」と息子…

脳梗塞のリハビリテーション

Plasticity of the human motor cortex and recovery from stroke.従来型のリハビリが行われてきたにもかかわらず、脳梗塞の機能予後の改善効果はいまだに十分でない。一方、こうしたリハビリテーションの有無にかかわらず、自然に麻痺側の機能が回復してい…

先輩たちからの言葉(2)

大学病院の大半が、古くから知られた大学が、市中病院の、 そして忌むべき民間資本の手に落ち、また屈服されようとしても、 我々は屈したりしない。 我々は最後まで戦う。外来で戦う。病棟で戦う、オペ室で戦う。 ますます確信を持って、そして強化された高…

溺水の治療

Drowning: a review of epidemiology, pathophysiology, treatment and prevention かつて溺水の死因としては喉頭痙攣、窒息、水分の誤嚥が主なものであると考えられてきたが、喉頭痙攣が従来言われていたほど高頻度に発症するのかどうかは議論が分かれてい…

ホームページ更新しました

心エコーのみかたを一部改訂しました。新しい技術についての記載はせず、今までの内容をほとんどそのまま継承して体裁のみ整えています。個人的にティッシュードップラーのような新しいエコーの技術には興味がないのと、自分にその技術もないので。内容の誤…

冬になると

うちの県の福祉課は、公園にたむろしている浮浪者にお金を渡す。「ここで冬を越されると困るので、〇〇県までいってください。お釣りがあまったら、それは自分の物にしても構いませんから。」 他の県でも同じようなことをする。結局、他の県から流入してきた…

臨床研修の勝利者はだれか

巨像も踊る風に。臨床研修はどういった病院で受けるのがもっとも賢い選択なのか、いろいろなところで議論が沸騰している。議論の流れは、どちらかというと市中病院での研修を選択した学生が勝ち組、大学病院に残った研修医は負け組みといった論調が目立つ。…

高用量のAT-�製剤は敗血症の予後を改善しうるか

Effect of long-term and high-dose antithrombin supplementation on coagulation and fibrinolysis in patients with severe sepsis敗血症の急性期には体内での凝固能が亢進し、AT-�が消費されることが分かっている。このため、敗血症患者に対してAT-�製剤…

少量のバソプレシンには腎保護作用があるかもしれない

敗血症性ショックをはじめとする血管拡張型のショックの患者に対して、近年バソプレシンの持続静注が行われるようになり、よい成績が報告されている。こうしたショック状態になった患者ではしばしば尿量の低下が問題になるが、バソプレシンを少量持続静注す…

テキストデータについて

ファイルメーカーモバイルやDOCアプリを使う人たちへの反論。自分の技術は進歩する。この数年で、テキストを打つ道具は単なるメモ帳からテキストエディタへと進歩し、印刷原稿にはLaTexを使うようになった。さらに、印刷のためにPDFデータをtexから生成でき…

叱りかた

正しい部下の叱りかた。相手をしかるときの評価の基準は常に一定にする。自分の気分で閾値を変えてはいけない。自分の何が悪くて怒られたのか、その回答が明確でないといけない。後で叱らない。その場で叱る。過去の事をほじくり返して一緒にまとめて叱らな…

敗血症にアルギニン

Sepsis:An arginine deficiency state?アルギニンは、体内ではシトルリンから合成される非必須アミノ酸であるが、敗血症の予後改善に効果があるかもしれない。アルギニンは、肝臓のなどでシトルリンから合成される経路と腸管から直接吸収される経路とで合成…

普段のPDAの使いかた

梅棹 忠夫 知的生産の技術から。 ひらめきの定着にメモがやくにたつ。全ての情報は分類してはいけない。配列する。一番いいのはアルファベット順に配列して情報の所在地を決めることである。 一度配列のシステムを確立すれば、検索はいくらでもできる。 全て…

Palmについて

ここ2年ほど使っているPalmについての覚え書き。研修医の頃は、当時のチーフレジデントの先生方が出たばかりだったザウルスを使い出していた。当時のザウルスの性能で本当に便利だったのかは疑問だが、ある日「みんなにも普及させるため、これからは申し送り…

超常の力

昔研修させてもらった病院はUSネービーホスピタルと提携を結んでいた。むこうに脳神経外科が無いためだったのか、当院には時々、頭部外傷の米兵が入院してきた。アメリカ人、特に黒人の軍人などはもう同じ人間とは思えない。体重は余裕で100kgを超えているの…

USAMRIID Blue Book 第5版

USAMRIID Blue Bookの第5版がいつのまにか出ていた。 アメリカ同時多発テロが会った当時、自分は米軍基地のすぐ隣の病院で勤務していた。当時5階にあった職員食堂からは米軍の輸送機の識別番号が肉眼で読めるほどで、基地にたいしてテロを仕掛けるならばこれ…

CPRについて

今後の改定部分。CPRの記録者を必ず立てる。後でトラブルになったときに非常に役立つ。心エコーは便利。とくにPEAでは必須。単軸断で右室負荷を、長軸断で心嚢水の有無を見る。特に心タンポナーデ(心筋梗塞には珍しくない)だけは見逃すと一生もので後悔する。…

絵を描く能力

借金の取立人は、債務者の支払能力を評価する際に「絵を描かせる」のだそうです。別にその場で何かのスケッチをさせようというのではなく、債務者が今の状況からどうやって借金を返すのか、その方法をこの場でどれだけ具体的に説明できるか、という意味なの…

歯垢は院内肺炎に直結する

A Reservoir of Respiratory Pathogens for Hospital-Acquired Pneumonia in Institutionalized Elders 歯垢で繁殖した細菌が気管内に誤嚥されると肺炎を生じる。この機序は特に、入院期間の長い高齢者の院内肺炎の原因になりうるといわれていたが、その証明…