2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

フェニトインによる褥瘡治療

抗けいれん薬であるフェニトインは、長期間の投与で歯肉の増殖の副作用があることが知られている。 この作用は、病理学的には膠原線維と線維芽細胞の増加によるものといわれているが、このことを利用して、フェニトインを創傷治癒を促進させる薬剤として用い…

保健所とのつきあいかた

以前、某地方の病院で一人内科に飛ばされていたときの話。近所の老健からどう見ても結核にしか見えない患者さんが搬送されてきて、調べてみたらやっぱりガフキー7号。すぐに近くの結核治療可能な病院に搬送を…と保健所に問い合わせてみたものの、「すぐに受…

せん妄の対策

A practical program for preventing delirium in hospitalized elderly patientsせん妄患者の予防と対策のためのガイド。入院中にせん妄を生じる患者は予想以上に多く、統計により全入院患者の14%から56%と報告されている。特に高齢者の多い病院、手術後の…

ガイドラインどおりの抗生物質治療は肺炎の予後を改善する

研修医のころ、当院では抗生物質の使い方についてはかなり厳しくしつけられた。前日当直中に入院した肺炎の患者さんに日和ってパンスポリンなど落としていようものなら、翌日のチーフレジデントから厳しい突っ込みが入る。 「どういう経過から肺炎を疑ったの…

一般内科というしごと

いろいろな科の医者がいる中で、一般内科医という職種は車でいうと軽トラックのような存在です。F1マシンのように特定の目的に特化した専門医とは違い、一般内科は汎用性があり、小回りが利き、どんな病院でも活躍できる自由さがあり、そして価格が安い(泣)……

BIPAPモードの設定

BIPAPモードの利点は、患者の自発換気を人工呼吸管理直後から抜管寸前までの間ずっと生かしつづけられる点につきる。このモードの利点は、ちょうど自由に換気が行えるCPAPモードと、患者の肺に愛護的に機械換気を行うことができるPCVモードとをあわせたもの…

エビタのBIPAPモード

BIPAPモードは1985年にはじめて紹介された。このモードの発表以前に存在した同じような換気様式にはAPRVがあり、またBIPAPを開発したグループは、このモードはプレッシャーコントロールベンチレーションの改良型で、いつでも患者の好むときに呼吸ができるも…

FFPの使いかた

Fresh frozen plasma in patients with disseminated intravascular coagulation or in patients with liver diseases外科医同士の会話で「赤」といったらMAP、「白」といったらFFPだが、その使いかたreview。FFPは主に凝固因子を補充するために用いるが、こ…

Cheyne-Stokes呼吸と心不全

最近難治性の心不全の患者さんが何人か続いたので。Cheyne-Stokes respiration in patients with congestive heart failureCheyne-Stokesと予後Cheyne-Stokes呼吸は心不全患者によく見られる周期性の無呼吸であるが、この症状は予後悪化の危険因子にもなって…

備忘録

aaaCafeからXREAに引越しをした際の備忘録。aaaCafeは無料サーバーで200Mもの容量を貸してもらえ、CGIの設置も事前に用意してあるものであればクリックひとつで可能であるなどありがたい面が非常に多かったが、容量の大きなファイルに転送制限がかかるのが問…

新しいスライディングスケールの考えかた

Hospital management of diabetes:Beyond the sliding scale米国の統計では、入院患者の12.4%は糖尿病を合併しているという。実際現場で働いていて、入院した患者さんの血糖が高値であることはよく目にするが、従来こうした人の血糖値をとりあえず下げる方法…

編集者心得

立花隆秘書日記から。 知らないと言ってはいけない。話を聞いておいて、知らないことは後で調べる。できないと言ってはいけない。とにかくやってみる。世間話をしてはいけない。用件が終わればさっさと引き上げる。資料を指示されたら、手に入らないと言って…

皮膚消毒にはクロルヘキシジンとイソジンの併用が有効?

Combined skin disinfection with chlorhexidine/propanol and aqueous povidone-iodine reduces bacterial colonisation of central venous cathetersCVライン挿入時などの皮膚の消毒には、クロルヘキシジンのほうがポピドンヨード、アルコールに比べてより…

肺保護的な換気様式

伝統的な人工換気は、1回換気量を10〜15ml/kgに設定する。この値で換気を行うことで、患者のPaO、PaCOを正常範囲に保つことが出来る。一方、急性肺障害の患者においては、この1回換気量の設定値ではピーク気道内圧が非常に高くなり、肺胞の過伸展を生じてし…

テノーミンには予後改善効果が無いかもしれない

Atenolol in hypertension: is it a wise choice? ロサルタンとの予後改善効果を比較したLIFEスタディの結果を受け、そのコントロール薬であったアテノロールの効果を過去のスタディから比較研究した報告。アテノロールはプラセボと比較して有意に血圧を下げ…

研修医のころ

内科の研修医をはじめてすぐのころ、当時の上級レジデントの先生からこんなことをいわれた。君たち研修医は、僕たちに比べて頭は弱く、手もうまく動かせない。患者さんとの話も上手にできなければ、患者さんの状態の変化を感じ取る目も曇っている。もちろん…

Ventilator associated lung injury

人工呼吸器による副作用(Ventilator associated lung injury 以下VALI)が最初に報告されたのは、1745年のことである。 VALIの正確な原因はまだ解明されていないが、その原因として挙げられているのは以下の3つである。 Volutrauma(容量損傷) 気道の周期的な…

上手なペペロンチーノの作りかた

大好きな文章。材料が揃っているか確認する。量は適当で構わない。 なにはともあれ、大き目の鍋にお湯を沸かす。 お湯には塩をひとつかみ、これでもかというくらい入れておく。 お湯はぐらぐらと沸かすこと。なるべく大量のお湯を沸かし、 塩の量は遠慮しな…

ヘルメットマスクによるNIPPV

非侵襲的陽圧換気はさまざまな呼吸器疾患、特に免疫不全状態にある患者の急性呼吸器疾患の予後の改善に役立ってきた(挿管すると合併症の頻度が上昇するからか?)しかし、従来急性期に用いられてきたフルフェイスマスクによるNIPPVでは患者の認容性が不十分な…

参考にした書籍

日本語の教科書はどれも無難にまとまっているもののあまり面白くなく、 自分が参考にしているのはほとんどが海外の教科書。編集方針が 独特なものが多く、「こんな表現手法があったのか」と関心することも しばしば。Amazonのおかげか、今では日本語の教科書…

先輩たちからの言葉

過労で倒れることを恐れるよりも、何もできないことを恐れろ。君の一粒の汗が、バケツ一杯の血を救うかもしれない。 患者に接する時は、温かい春の心。救急外来では、燃える夏の心。治療方針を考える時は、澄んだ秋の心。他科のレジデントには、厳しい冬の心…

2004病棟ガイドについて

EBMばやりの昨今ですが、それに違和感を覚えることも多々あります。自分も循環器の医者なので、ランダマイズドスタディにより検証されなかった 薬を漫然と投与したり、また過去のトライアルで効果が否定された治療をいつまでも 続けたりといったことはしない…

交渉ごと覚え書き

仕事上の仲間、患者さんやその家族との交渉にあたって留意すべきことの覚え書き。 文章にまとめるつもりがなかなかまとまらない。 相手から欲しい情報を入手した直後に、会話を終わらせてはならない。あと2つ3つ雑談をして、そのあと会話を終了する。あとか…

「研修医」宣言

・私は患者さんの役に立つためここに来ました。 ・私は患者さんのために日夜勉強します。寝る時間など要りません。 ・私は冒険心に富んでいます。困難な仕事であるほどやる気がわいてきます。 ・私は自分が聖職者であることを知っています。私の血肉は全て患…