2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

頑張らない選択肢が大学を滅ぼす

議論なんて下らない。 どうせ結果は最初から決まってる。声の大きい人たちは、議論が強い。結局はいつも彼らの言いなりにしかならないし、かといって喧嘩をするのも大人気ない。勝ち目のない議論に参加して、あとから目をつけられるぐらいなら、黙っているほ…

少ない予算で人を使う方法

年棒1000万円の人間10人を、7000万円で1億円分働かせる方法。以下のような規則を設ける。年棒1000万円。ただし、内300万円については、自己の判断により返納する権利を有する。「義務」ではなく、「権利」というのがポイント。自分が1000万円分働いたと思え…

事故の確率が減れば減るほど、1回の事故における医療者側のダメージは増していく*。医学の進歩の結果、いくつかの治療の安全度は向上し、成功率は高まったが、一方で医師は「常に成功すること」を求められるようになった。安全で、確立された治療であるほど、医者にとっては危険で、できればやりたくない治療になる。特にそれが、失敗すると致命的な合併症が生じるような手技であれば。

どんな治療であっても、それが世の中に出現した当初は危険なもので、また全ての人に適用できる治療にはなりえない。治療の対象となる患者さんは、「生きるか死ぬか」といった人ばかり。新しい治療手段は成功率も低い。最初のうちは、成功率の高そうな患者さ…

報われない医療過誤防止の努力

人間という生き物はばらつきが大きくて、同じことをやっても、トラブル無く上手く行く人と、どんなベテランがやっても上手くいかない人とは確実に存在する。##安全を求める努力は自壊する治療に関するトラブルというものは避けようがない。それを減らすこと…

初期研修が不幸な人へ

いじめはなくならない。 複数の研修医を擁する職場では、まず上級生-研修医が一つのチームにまとまらないと、話が前に進まない。チームにまとまるということは、すなわちお互いの力関係をはっきりと認識するということだ。下級生から信頼されるには、「いつ…

出来ることと見えること

以前研修を受けた病院では、まず見て、学んで、その後で実際にやってみて、さらに他人に教えられるようになって一人前と習った。「それが出来る」ということと、「それを知っている」ということとは全く違う。知識の成長過程として、以前は何の疑問もなく「知る」…

自然な成長とは何か

およそ知識というのは、正しい場所、正しいタイミングで発現されないと、なんの役にももたたない。正しいやり方をせずに詰め込んだだけの知識では、試験の役にはたっても、現実世界の問題を解決するための道具にはなりえない。正しい知識を身につけるには、…

現状を肯定するという行為

例えば岩だらけの道があったとして、その道に転がっている岩は、道行く人からは邪魔者扱いされていたという状況があって。ある旅人がその岩を指して「休むのにちょうどいい椅子だ」と、そこに座って休んだとき。路傍の岩も、それを「椅子」といって座ってし…

Expression

発表のスライドなどを直前に作るとき、結構問題になるのが、温度板や経過表といったもの。 こんなのとか こんなやつ(出典:NEJM Volume 352:2508-2514 June 16, 2005 Number 24)。患者さんの臨床データを、まじめにエクセルなどに記録していれば、何も悩まず…

奇跡のおきる場所

肥料をやりすぎた植物は大きく育たない。知識も同様。現場に何かのニーズが生じたとき、それを達成するのに必要な条件に制限が加わって、はじめて新しい知恵やノウハウといったものが生み出され、その現場での知識というものに新たな蓄積が加わる。時間的な…

パンダの写真

臥龍大熊猫繁殖基地より。書くことも無いのでパンダの写真で穴埋め。

夢を見せる機械としての大学

自分という人間は、世の中でどれほどのものなのか。今までの生き方は正しいのか。これから進もうとする道というのは「いい」道なのか。たいていの人にとって、人間の価値というものは相対的なものだ。自分の価値というものは、他人と自分との距離感からしか…

怒りの季節のこと

去年の卒業生には、まだ少し早いかもしれない。2年目を終わって救急外来へ。救急の業務にもなれ、忙しい外来の中で患者さんをさばいていく知恵も身についた頃。卒業したばかりの時には針一つ刺すのにもおどおどしていた研修医も、いつのまにか救急外来業務に…

裏切らないという宣言

病院を移るというのは、結構恐ろしい経験だ。知り合いのいないところに一人で行かなくてはならないし、そこで初対面の医師どうし。就職早々しなくてはならないのは、自分が信用に値する人間であり、ここでいっしょに働くだけの価値のある人間であるとアピー…

知識の次に来るものは

知識の集まるところには、お金が集まる。毛唐の人たちは100年以上前からこのことに気がついていて、学会を作り、LancetやNEJMを創刊してきた。学会費や雑誌の収入だけじゃない。知識の流れを握るということは、すなわち力の流れを握るということだ。日本がど…