2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

部長のみっともない治療

##研修医の頃 当直帯で「患者さんが苦しがっています」というコールがあったときの話。心不全なのか喘息発作なのか、目の前の患者さんはとにかく苦しがる。 聴診してもゼーゼーいう音が聞こえるだけで、診断にはつながらない。1年目だった自分だけでは手に余っ…

腹痛の人なら、循環器内科じゃ分からないから知りあいの外科の先生に土下座してすぐ来てもらう

自分で治療するのか、あるいは治療できる誰かに頼むのか。いざという時のために、こうした「汚い、洗練されていない治療手段」を想像しておくこと、 そして、「この一線を越えたら、ベテランという立場を捨てて、頭の悪そうな治療を開始しよう」という そのライ…

ショックの人なら、とにかく水と昇圧剤を突っ込んで、無理なら人工心肺を回してまた考える

呼吸困難の人なら、心不全と喘息の治療を全部やって、無理なら人工呼吸器に乗っけてまた考える

成長とともに立場から自由になれる人

何かあったとき、自分の立場を捨てられるか、それに縛られるか。つまらないことなんだけれど、こんなことが患者さんの予後を左右する。##「あるべき自分」を捨てられますか? 「洗練」という行為は、無駄な部分を削ぎ落とす行為のことだから、 何かあったときの安…

成長するとともに立場に縛られる人

正直さと即興性

料理人や大工仕事、手術や心カテに至るまで、様々な職人仕事には、 「正直さ」に優れた人と、「即興性」に優れた人とが存在する。##菓子職人の正直さ たとえば、同じ料理人であっても、菓子職人の凄さと、出張料理人の凄さとでは 意味あいが異なるんじゃないかと…

負けたら罰

一見同じようだけれど、戦略は異なる。「勝ちかた」は、プレーヤーが勝手に決められる。格闘技なら、ルールで負けたって、 最後までリングに立っていればそれは「勝ち」。解釈のしかたひとつで、 「勝ち」なんていくらだって宣言できる。「負け」を決めるのは、審判…

勝たなかったら罰

一人で犯人を追いかけようとして、犯人が逃げそうになった

犯人を追い詰めるこうした状況は、自分の身の安全が保証されないならば、 追いかける警察官をもまた追い込んでいく。警察は、自分で自分を追い込んで、容疑者を射撃せざるを得ない状況を作ってしまった。刑事ドラマというのは、即興性に優れた主人公が、職人…

至近距離に近づいたとき、容疑者が怪しい動きをした

犯人が武器を捨てたことが確認できるまでは、一定以下の距離には近づかない

誤射があったケースでは、警察官自身を安全にするための、 こうしたルールが守られていなかった。たぶん、誤射が多かった時代の警察というのは、「命知らずの男らしい警察官」という ステレオタイプと、現場で作られたルールとの間に整合がとれていなかったの…

犯人が背中を向けてじっとするまでは、必ず自分の身を安全地帯に置く

必ず2人以上で容疑者を追跡する

本当の即興者は、地雷を持ってお手玉ができる

職人が即興性を伸ばすことは、ある程度のところまでは可能だけれど、 たぶん決定的な「何か」を越えるのは難しい気がする。急変に強い職人を作ろうと思ったら、 職人が平常心を失う環境を、極力作らないようなルール作りをすることだ。かつてのアメリカでは、…

ベテランの先生方は、同じ状況で、1cm の距離まで平気で近づく

初心者は、たとえば対人地雷を目の前にして、1m 手前まで近づいたら足が震える

レシピを破って、10人分の料理を作るか

レシピとお客さん、どちらを優先するのかは自明なのだけれど、 レシピに対して正直であればあるほど、職人の目の前の状況が日常と逸脱しているほど、 この選択を正しく行うことは困難になる。##正直さと即興性は両立できるか?

レシピを守って、8人分の料理を出すか

補給について

最近読んだ「補給戦」という本から。##停止するためには補給が必要〜中世ヨーロッパ以前

必要そうなものをトップダウンで病棟に降ろすのではなく、現場で必要な物をボトムアップ的に

効率よく拾う仕組み電子化すれば万事解決なんていうことは絶対無くて、もっとアナログなやりかた、 人の流れを効率よくするノウハウというのは、たぶんどこかの業界にあるような気がするのだが。

情報や道具、病棟のレイアウトの規格化

スタッフの動作線を極力重ねないこと

医師個人個人のスタンドアロン化

食料の量は変わらないのに弾薬類の消費量が増えた結果、現在では停止中の軍隊を養うよりも、

動いている軍隊の補給のほうが重要な問題になった病院の中での「補給戦」に相当するものは何なのか。補給というのはつまるところ、人やものの流れをどう現場までコントロールするかという問題で、 道具の近代化とはまた違った側面をもっている。医者が一人しか…

スピードの上限というのは、あいも変わらず補給のスピードが決めている

補給の量は飛躍的に上がったにもかかわらず、戦争兵器の技術の向上のほうがそれを上回ってしまって、

軍隊の移動スピードはあんまり変わっていない

砂漠の名将ロンメルの軍隊も、進撃速度が速すぎて補給が追いつかず、結局息が続かなかった

「**戦争は、決定的な場所に最大の兵力を集中することを知っている者が勝つ**」。第二次世界大戦のこのことわざは、補給の問題が第一次大戦のころから何も変わっていないことを表している。##現代の戦争

自動車により運搬能力が飛躍的に高まったにもかかわらず、弾薬消費量がそれ以上に増えてしまい、軍隊の

食料については相変わらず「武装遊牧民」のころから進歩が無かった

道の問題は全く解決しておらず、補給路が1本になってしまうと、軍隊は事実上進撃不可能になった