弱い絆を持つコネクター

個々のノードは強力なクラスターを形成している一方、
各々のクラスター同士は、何人かのコネクターの持つ弱い絆で結ばれている。
こうして出来上がったネットワークは、
クラスターネットワークのように強靭で、ランダムネットワークのようにすばやい情報伝達を可能にする。

小さな集落しかなかった過去。コネクターの地位は低く、むしろその存在は村の存在を脅かすものとして
タブー視された。

現在は違う。大規模ネットワークである現在社会を、文字通り「小さな世界」のように
強靭ですばやく運営しているのは、コネクターの力が大きくなったからだ。

世界に流通する尊敬の貨幣の量は、常に一定だ。コネクターの力が大きくなった社会では、
貨幣はコネクターに集まった。クラスターのメンバーの地位は地に落ちた。

##地域でずっと働くのに必要なもの
移動しないこと、そこでずっとやっていくことというのは、
ネットワークの強靭さを保つ上では、遠くの弱い絆を持つこと以上に大切なものだ。

クラスターとコネクターとは対立する競争相手などではなく、世界に強靭さと
すばやさとを与える大切な2つの要素だ。

現在社会。優秀な人の目、はコネクターのほうに注がれる。地域医療のように、
そこでずっと同じことをするという選択は、
時代遅れで割りの合わない、バカな選択に思われてしまっている。

>地域医療が好きだ。

>脳梗塞が好きだ
>誤嚥の管理が好きだ
>褥瘡処置が好きだ
>不隠の対処が好きだ

>田舎の中小病院で行われるありとあらゆる医療行為が大好きだ

>行き場のない寝たきり老人の転院先を探すのが好きだ
>転院先の外堀を埋めて、力業で承諾を勝ちとった時など
>胸がすくような気持ちだった

>家族の歪みを見るのが好きだ
>動けない義父の介護を押し付けられた三男の嫁が
>マウントポジションから何度も何度も
>義父に拳を振り下ろしている様など感動すら覚える

>公務員の横暴になす術も無く耐えるのが好きだ
>生活できない心不全の患者が体よく追い返される同じ窓口で
>普通に歩ける役所の身内に生保が即決されるのを見るのはとても悲しいものだ

>保険会社の書類攻勢に蹂躙されるのが好きだ
>数十枚もの書類を書かせ
>難癖を付けては保険の支払いを渋る某外資系の保険屋に
>卑屈な愛想笑いを返すのは屈辱の極みだ

いわゆるお医者さん的な部分。
人の生活の美しいところ。醜いところ。
世の中の矛盾。
普段は巧妙に隠されている、人間の野生。
この仕事は面白い。冗談で無く本当に。

できれば気分よく続けたいけれど、そのためにはやはり
気分よく地域に埋もれられる環境を作らないといけない。

昔話の時代。お地蔵さんは、雪の日なら米俵を担いで歩けるぐらいに
パワフルだった。現在、地蔵は力を失い、
今では酔っ払いのミドルキック一発で交差点に沈む。

信仰の力で地蔵を再び歩かせるのは相当大変そうだけれど、
せめて地蔵の首の飛ばない社会にしないと、
次に蹴られるのは地域の医者だ。

以下続く。