研修医のころ

内科の研修医をはじめてすぐのころ、当時の上級レジデントの先生からこんなことをいわれた。

君たち研修医は、僕たちに比べて頭は弱く、手もうまく動かせない。患者さんとの話も上手にできなければ、患者さんの状態の変化を感じ取る目も曇っている。もちろん聴診器ひとつも満足に扱えない。

いわば、君たちは上級生に比べて目も、耳も、口も、手もすべての部分で劣っているわけだが、足だけは年上の先生方よりも優れているかもしれない。

患者さんや病棟スタッフからのコールがあったら、決して電話で済ませるようなことはせず、極力現場に行くように心がけなさい。最初のうちは使えなくて周囲から信頼してもらえなくても、呼んだら必ず現場にきてくれる医師は必ず信頼されるようになる。

そうしていくうちに判断力や知識が上達してきたとき、こうした周囲からの信頼感は必ず君たちの力になるだろう。

そんなことをいわれてからはや10年、足のほうはすっかり衰えてしまったが、ほかの器官は年次なりに発達したのだろうか?