小話

言葉のはじまり 神代のおわり

##魔術師は古いものを集める 古い祭具。古代の呪文。時の試練を経たものには、それだけで神秘的な力が宿る。ものの進歩の歴史というのは、魔術師にとっては堕落の歴史だ。技術が進化し、学習可能なものとなり、それを使える人の数が増えるとともに、 神秘は…

ゲド戦記見てきた

こんな感じ。

補給について

最近読んだ「補給戦」という本から。##停止するためには補給が必要〜中世ヨーロッパ以前

性善説と性悪説

7月から、療養病棟の保険点数算出方法が大幅に変わった。今までは出来高払いの延長。節約してやりくりすれば、たいていの医療行為は 何とかなった。7月からは、ルールが大幅に変わった。

人が最後に帰る場所

##日常が失われる恐怖 その人にとっての故郷というのは、たぶん介護士さんの顔と声だった。老人病棟の患者さんは、毎日叫ぶ。ひたすら怖がって、 何やっても叫ぶ。その人は、前の施設ではおとなしかったらしい。 会話は全くできないけれど。誤嚥性肺炎を発症…

「みんな」と「あなた」の使い分け

戦いというのは、結局のところ戦力の大きな方が勝つのだけれど、 どれだけ大きな戦力を用意すれば勝てるのか、という問題には、 「ランチェスターの戦争法則」という解答案がある。

医療はサービスか

>その昔、私が行政に飛び込んだ時に行政事務文書の「医療サービス」という用語を見て、 上司に医療をサービスとするのは奇妙ではないか?と疑問を呈したことがある。 >今で言うサービス産業と同等に医療を扱うのは奇妙ではないか?と聞いたのであるが、 上司の…

あいまいさのもたらす豊かさ

病室の中に心電図モニター置かれるようになってから不自由になった。どうしようもない病気で亡くなる人の病室。昔は、家族の方が病室に集まって、本人が息を引き取るのをずっとみていた。息が止まってから、実際に心臓が止まるまでの間には、けっこうな時間…

「理想の世界」の像

>植物園の温室みたいな、木が茂る廊下を抜けて、光にあふれる道を歩いて。>その先の角を右に曲がると、自分が一番くつろげる世界があるということを何故か知っていて、 >その角を曲がってみると…南4階病棟の入り口だった。>「**やべ、バイトすっぽかした!!**」…

「何をしたのか」「どう見られたか」

国家試験受験資格、1年前倒しを=医師不足解消で特例申請へ−NPO法人 >全国の医学部生や医師ら400人余でつくる特定非営利活動法人「医学教育振興センター」は12日、 在学中の5年生でも医師免許を取得できるよう医師法で卒業後に限定している国家試験の受験資…

現在を楽しめていますか?

昔語り。今よりもっと年次が下だった頃。>「なあ、○○、俺ァ、こんなに苦労して、業績あげてるのに、こんなチンケな >病院でゴミ箱医者を続けて…(中略)、いま、さる有名病院からリクルートの >依頼が来てる。もうこのままここで仕事を続けてもしょうがないから…

剣と魔法と「空気読め」

「百歩神拳」を放てる男がいる。学部の合気道部の主将だった彼が「ハッ」と気をはなつと、 道場中の下級生が魔法のように吹き飛ぶ。飲み会のときなど、面白いように決まる。残念ながら、空気の読めない一般人には効果がない。##空気で成り立つ物語 魔法使いが当…

いい文章の書きかた

実家の言い伝え。

この世の全ての悪に…

##記憶の人フネスボルヘスの小説「記憶の人フネス」は、完璧な記憶力の持ち主の不幸な物語だ。物語中では、フネスは痴呆に近い人、頭の回転が鈍い人として描かれる。フネスは完璧な記憶を持つ。その代わり、考えることができない。フネスの記憶は完璧すぎて、…

言葉と対話に関する3題

新しい職場に来てから考えたことなど。##深夜のコンビニで 20代やせ型男性。髪金髪。前歯溶けてて、両耳にはピアス5個づつ。こんな兄ちゃんがレジ打ちをしていた深夜のコンビニ。何故かやたらと混んでいた。>「ぉにぎぃ〜ぁためますくゎ〜?」前歯が無いからな…

大学生活の終わりに

大学を辞し、今後は地域医療に従事する一般内科医として生活することになりました。研修医からシニアレジデントの頃までは、自分はこのまま循環器内科医としての キャリアを積んでいくものとばかり思っていました。内視鏡は正直下手でしたし、医療の業界の中…

「とりあえずこうやっとけ」はけっこう頼れる

続き。ここで使っている「**エビデンス**」という言葉は、あくまでも誤解されているほう、 「エビデンスに基づいた診療ガイドライン」とか、「ランダマイズドトライアル以外は 信じるに値しない」などと教える過激なEBM 信者の人達が使うほうをさしています。##レ…

エビデンスの集積の先に真理はあるのか

>次に誰かが大切そうなことをお前に言うとき、自分で考えるんだ。 >「これは証拠によって人が知ることができるようなことなのだろうか? >あるいはこれは伝統や、権威や、お告げによってただ人々が信じているようなことなのだろうか?」って。 >そして、次に誰…

共産主義ジョーク

ソ連の科学アカデミーがアダムとイブはロシア人であったに 違いないと言う結論を 出した。 理由は以下の通り。 彼らは食べるものはリンゴしかなく、着るものはいっさい持たず裸で、 しかもエデンの園から出ることを禁じられていた。 そのくせ、彼らは自分た…

情報の発信と自我の拡散

##自分探しとしての蔵書の探索 本だけは、けっこういっぱい持っている。ガキの頃から壁という壁が本棚だったのは当たり前の風景だったし、 今でも結局そうなっている。1冊1冊の本は、そんなには大事に読まない。 ドキュメントだろうが小説だろうが、なにか「…

全体と部分の最適化

##帳尻あわせの技術 職人芸というのは、つまるところ帳尻あわせの技術だと思う。例えば法隆寺。もう1200年以上も経っている最古の木造建築物だけれど、 ハイテクなど使っていなくてもちゃんと建っている。大工の職人芸のなせる業だ。法隆寺が名建築なのは論…

生扉と生体

生体というのは、うまくいっているときにはその維持のコストは非常に少ない。 暴飲暴食を多少行ってもどうということはないし、3日や4日カップラーメンだけで暮らしたとしても、 それだけで体がおかしくなることもない。むしろ、規則ただしすぎる生活は生体…

マッチメイカーとしての国の責任

プロレスには仕掛け――アングルがある。これは決して八百長などではなく、リングのファンタジスタであるプロレスラーの 持ち味を最大限に演出するためには欠かせない物語だ。マッチメイカーは、プロレスの世界観とか、試合前の選手同士の怨恨や対立、 それぞ…

当直中のジンクス

当直中。重症の方もそれなりに落ち着いていて、急患も入ってこない午後。こんなときに「**平和だね**」とか、「**暇だね**」といった言葉を口に出すと、 その日の夜の病棟は必ず大荒れになるという言い伝えがある。みんなそう思っていても、あえてその話題を口に…

専門医志向と「即戦力」志向

専門医を目指すのは楽しいのだろうか?

状況の変化と生存の知恵

##大学の救急外来はヒマだった 久しぶりの正月救急当直。今年は忙しかった。忙しかったことが、逆に意外だった。大学病院で、救急外来を熱心にやっているところは少ない。大きすぎる組織。専門分化した医局。莫大な予算規模や、「大学」という看板。こうしたも…

真名と忌み名と

##白衣の裏には名前を隠す 人に頼られるというのは、基本的にはとても怖いことだと思う。内科の外来。毎日初対面も同然の人たちがやって来ては、自分達の問題を赤の他人に語る。 もちろんこちらを信用してくれてのことなのだけれど、その話を受ける自分が十…

盤外戦のしかけかた

公平なルールで気分良く戦うためには、盤外の戦いに最善を尽くさないといけないという話。>女子フィギュアスケートで五輪代表に3選手が決まったが、25日の「全日本選手権」を見て、なぜ、6位の安藤美姫選手が選ばれたのか、釈然としない人は多いはずだ。ネッ…

みんなと同じことをするという戦略

>「みんなと同じことをする」しかいない国は、危ない。 >中心が腐った場合、その腐敗を食い止める力がなく、腐敗がひろがる一方だからだ。 >バブルも、欠陥マンションも、そしてファシズムも、そのようにしてひろがる。 >腐敗した権威や確信犯はもちろん悪いが…

論文を書くということ

昨日のおしゃべりのまとめ。アカデミズムに背を向け、ただひたすらに患者様中心の医療に邁進すのは、 全然かっこいいことじゃないです。臨床のことだけ、治療のことだけ考えて医者をやっていくという選択肢は、 何の覚悟もいらない、楽な道を選択するという…