FFPの使いかた

Fresh frozen plasma in patients with disseminated intravascular coagulation or in patients with liver diseases

外科医同士の会話で「赤」といったらMAP、「白」といったらFFPだが、その使いかたreview。

FFPは主に凝固因子を補充するために用いるが、これを1%上昇させるのに必要なFFPの量は、体重あたり1mlを要する。この法則はワーファリン過剰時などにPTを正常化させる際にも当てはまり、たとえばPTが40%であった75kgの体重の患者のPTを60%まで回復させようとする場合、75掛ける20で1500mlのFFPが必要になる。

FFPを投入するスピードも大切で、出血を押さえるためには最低でも毎分30ml程度の投与速度を保つ必要があるという。

PT補正の目標値としては、通常の手術前の患者ではPT-INRで通常の2倍から1.5倍程度、脳神経外科領域では正常値の80%以内への補正が求められている。

実際のところ、計算どおりのFFPをそのまま投入すると、たいていの患者で輸液過剰となってしまうため、こうした凝固因子の補充を行う際にはFFPを用いるよりも凝固因子製剤を用いたほうがよい、と推薦している文章も多い。

FFPはまた、DICの初期の過凝固期にはAT-�の補充目的で、DIC後期の出血期には上記のような凝固因子の補充目的での効果が期待されている。しかし、いくつか行われた臨床研究では、いずれも小規模なものであったものの、FFPによるDICの予後改善効果ははっきりとは証明できなかったという。DIC治療においてFFPをどう位置付けるかはガイドラインごとに見解が異なっており、まだ一致した意見にはなっていない。ただ、明らかに出血性の合併症を生じているDIC患者についてはFFPの使用目的としては間違っていない、と書かれている。

以前メーリングリストで話題になった部分の過去ログ

FFP投与に関して、議論を少し整理しておく必要があるかと思います。

FFPの基本的適応は凝固因子の欠乏による出血傾向の是正です。つまり、出血傾向と、凝固因子不足という2つの要件を満たしている必要があります。止血に必要な凝固因子の量は各因子により異なります。第�因子で15-25%、第�因子で10-40%といった具合です。フィブリノゲンでは75-100mg/dlといわれています。つまり、複合的凝固因子欠乏による出血傾向に対しては、これだけの凝固因子を補わなければならないということです。生体内で凝固因子は破壊される一方、投与する方のFFPも解凍すれば、不安定凝固因子といわれる第�因子や、第�因子は失活していきます。つまり、FFPを急速に投与することにより初めて十分な凝固因子濃度が得られます。時間をかけて投与していたのでは、凝固因子濃度は上昇せず、出血傾向は改善しません。

FFPを解凍したあと、不安定凝固因子は生体内と同じく失活していきます。相原先生のAABBの資料にあるように、生体内での半減期は、最も短い第�因子で2-7時間、第�因子で8-12時間です。第�因子の生体内半減期は15-36時間です。解凍したFFPを4℃で保存した場合、ほとんどの因子は安定ですが、第�因子は24時間後には25%の活性しか存在しません。第�因子はもう少し安定で、2週間の保存で50%にまで活性が落ちるといわれています。

以上をまとめると、FFPにより止血に必要な凝固因子濃度まで上昇させるためには、FFP内の不安定凝固因子が失活する前に、急速に投与する必要があるということになります。