普段のPDAの使いかた

梅棹 忠夫 知的生産の技術から。


ひらめきの定着にメモがやくにたつ。

全ての情報は分類してはいけない。配列する。一番いいのはアルファベット順に配列して情報の所在地を決めることである。

一度配列のシステムを確立すれば、検索はいくらでもできる。

全ての情報はテキストデータで記録し、可能なら一つのファイルにまとめる。一つのテキストデータであれば、後々自分の技術の向上に伴い、いくらでもデータを検索、加工が可能になる。

これが複数のファイルにまたがるバイナリデータであった場合、後でデータを別の目的で利用しようとしても困難である。

Palmは、だいたいこの方針でいろいろな情報を管理できる。

患者の電話番号や病名、日常のメモやアイデア、臨床に必要な知識のメモなどは、全て単一のメモデータとしてテキストエディタでPC上で閲覧することが可能。Palm上でも全文検索が一応可能。


普段のPDAの使いかた

アドレス帳、予定表、ToDo?といった電子手帳の普通の使い方と合わせ、自分は以下のものをPalmにいれて持ち歩いている。

薬のデータベース(Pdrug)

抗生物質ガイドライン(Johns Hopkins 病院のもの)

POOK(docリーダーとして)

Progect(学会準備などの進捗状況表がわり)

英和辞書(Kdicに英辞朗を入れて)

これ以外のデータ、例えば患者さんの簡単なまとめ、日常で見聞きした医療情報、何か思いついたときのメモなどは全てメモ帳に放り込んでいる。メモに書き込む患者さんの情報などは特にフォーマット等は作らず、その日の気分で適当に打ち込んでいる。

このままではメモが雑然と積み重なっているだけであるが、例えば予定表に患者さんとの面談予定が入っている場合、この予定に件の患者さんのデータ、病気に関する覚え書きなどのメモデータにハイパーリンク(PalmWikiLinkPakを併用)を張っておくとメモが有効に生かせる。

また、日時、病名、キーワード等で特定のメモを探したいときは全文検索ソフトの Q-pocketを利用することで間に合わせている。

情報整理といえばデータベースソフト、患者情報も全てデータベース化し、几帳面に管理している人もいるが、これを長く続けるのは大変で、また将来的な応用も利きにくいと思う。データベースってはその設計が意外に難しい。どのようなデータを含む、どのような構造のデータベースにするのかを最初に設計しなければいけない。後になってこうしておけばよかった、といったことが出てきても、全てのデータを訂正しなくては使い物にならない。

データを単なるテキストファイルで管理した場合、データベースソフトに比べると検索速度は遅く、また適当に情報を記入しているといくつかのキーワードを試さないと情報が出てこないかもしれない。

しかし、テキストデータはさまざまな応用が効く。使う人のスキルが上がれば、テキストデータを効率よく加工するすべはいくらでも見つかる。検索スピードが遅いことについても、1年も我慢すれば同じ値段でもっと早い PDAをどこかが発売してくれる。ファイルメーカーのようなデータベースソフトを用いた場合、機械を乗り換えたときのデータの移行が難しいことがあるが、テキストデータならそういった心配は皆無となる。