出口が大通りに面しているので、車が混雑する
心エコーで心機能を評価するというのは、ちょうどマクドナルドの店の中に入って、あれこれ観察するようなものだ。
店の中にいれば、店のことは全部分かる。誰が責任者なのか、誰が律速段階になっているのか。ところが、店の中で見ていても、店の外の原因、例えば道路の設計や、車の量などといった問題は分からない。また、誰もが少しずつ原因になっている場合、「店が混雑している」ということすら分からないかもしれない。
一方、BNPを測定するという行為は、そのマクドナルドを店の外から観察して、入り口に出来る渋滞の長さを測定する行為に例えられる。
混雑の原因は、渋滞を見ても何もわからない。それでも、「その店が混雑しているのかどうか」、何かの改善策が必要なのかだけは、見ればすぐに分かる。
検査というのは、着目する空間スケールが大きくなればなるほど、より信頼性に富んだ評価が可能になる。もちろん、細かな原因を調べるためには、空間スケールを小さく設定しなくてはならないが、今度は総合的な判断が不可能になる。
##進路相談の質問はどうするのが正しいか
どこの科にいくのがいちばん「**いい**」のか、多くの研修医の間で話題になっている。
>○○科にいった先輩は大変らしい、あそこ科の先生方は、楽しそうに仕事をしている。
多くの研修医は、自分の知っている上級生が、実際に勤務している科が「どう」なのか、そうした意見を総合して自分の行きたい科を選ぶ参考にしている。
では、「どの科が一番いいのか」という疑問に対して、「先輩の科は、どうですか?」という質問は、正しい答えを返してくれるだろうか?
検査の正しさというのは、注目する空間スケールと、検査のの解像度(たとえば年収が知りたいのか、雰囲気みたいなものまで、情報なら何でもいいのか)により左右される。正しい空間スケール、正しい解像度の検査を選択しないと、正しい答えは見つからない。
「どの科が一番いいのか」という質問は、かなり大雑把な質問だ。その答えを知るためには、たぶん「**先輩は、どこの科が一番うらやましいですか?**」と全ての科の医師に聞いて回り、そのアンケートを集計するのが一番正しい方法だ。
人間、誰しも自分の選択を全否定はしたくない。
自分の勤務している科にしても同様だ。当然ながら欠点はある。それでも、一方でいい面もきっとある。