レトリックというのは、着せ替え人形の服のようなもの。着せる服によって、同じ中身でも違って見せられる。

どちらの立場が正解に近いのだろう。

古い物語は、それが文書として形成される前に、長い口づたえの時代を経ている場合が多い。

昔話に代表される民間伝承もまた、初期の頃はすべて口伝で次の世代へと受け継がれた。
語り部は、聴衆の求めに応じて話を思い出す。

物語の記憶の方法の一つに、縄につけた結び目を利用するものがある。

語り部には、物語の文章の代わりに、いくつもの結び目を作った縄が受け継がれる。伝承者は、その結び目の大きさや数を頼りに、覚えた物語を再構築していく。