全体像を把握するのが容易。「目次」を用意しなくても、紙のどこかに重要な単語だけ集まった場所を作れる。

##やはり出てくるマインドマップ
しばらく前からマインドマップを使っている。

[FreeMind](http://www.freemind-club.com/)というソフトをいれて、
PC上でアイデア出しやまとめをするのに用いているが、
慣れるとかなり便利だ。

mindmap.jpg

今回の文章を書くのに作ったマインドマップ。大体20分ぐらいでできる。

マインドマップという考えかた自体は70年代からあるそうなのだけれど、日本語で紹介された本はどれも
自己啓発セミナーの回し者か?としか思えないようなものばかり。
本の中で紹介されるマインドマップの例も、統○失○症の患者の心象風景のようなものばかりでとても
追従する気になれなかったのだけれど、やってみるとたしかに頭の整理が速くなる。

マインドマップを書くツールはたくさんあるが、
創始者公認の[MindManager](http://www.nvd.co.jp/mm/)というツールはLaTeXとの連携が可能
(PDF出力が出来た)だったので、これを目次代わりに使おうと思ったことがある。

前の病棟マニュアルを作っていた頃、一時は各章のはじめのページを
マインドマップにしていたのだが、
これがどうやっても見やすいものにならず、結局断念した。

>情報をビジュアルに階層化させて提示するという方法の一番駄目なところは、人によって階層化の仕方が違うので、
>その階層化の「スキーマ(神経言語)」が共有できないと、まったく何書いてあるかがわからなくなるんですよね。
>で、ビジュアルツリー自体にはスキーマが書けないので、分けの分からないツリーがそこかしこに林立して、
>それでgopherは消え去っていったと解釈してます。

[gopher](http://www.jiten.com/dicmi/docs/g/4794s.htm)というのは、現在のインターネットができる前に使われていたファイル共有システムだ。
世界中のコンピュータ内にツリー型式で格納されたファイルを検索して共有できる…はずだったが、
ツリーの分類法方がコンピュータごとに違っていたため、持ち主以外ではまともなファイル検索が出来なかったらしい。

マインドマップを他人に見せるときにも、これと同様の問題が付きまとう。マインドマップで取ったノートというのは、
中心に本題があり、そこから四方八方に枝を伸ばす。それぞれの枝には書いた人が重要と思うキーワードが書き込まれていく。

何を重要と思うのか。どんなルールで分類、重み付けを行うのかは、書いた人にゆだねられている。この感覚を
共有できなければ、せっかくの位置情報は他人に伝えることが出来ない。

テキスト情報を2次元展開するとき、どこに重要な情報があるのか、作者としてはどこから読んでほしいのか、
そうした情報を読者に伝える術がないと、ビジュアル言語のメリットは消失してしまう。

プログラマーの人達が使う「UML」の場合、このルールを厳密に決めてしまっている。ルールを伝える教科書は、
従来どおりのベタ打ちテキスト型式。非常に難解(もともとJAVAプログラムをするためのルールだから、ある意味当たり前)で、
すぐに放り出してしまった。

##視線誘導を利用したルールの伝達
ビジュアル言語を用いて情報を伝達したいとき、一番問題になるのが、
どこから読むのか、どうやって読み進めていくのかというルールの伝達方法だ。

従来型のテキストメディアでは、このルールが非常にシンプルだった。洋書型式の横書きならば、
左上から書き出し。行を追って徐々に下に目線を移動し、右下で終了。文章の読める人は、
子供の頃から同じルールでやってきた。

あまりにも昔からやってきたルール。このルールが、しばしば新しいやりかたを導入するのに
大きな障害になる。

いまだに全く出来ないのだけれど、やはり自己啓発系の出版社から多く出ている速読術、
「右脳を使った」読書術といったものの多くは、まずは文字のないページをめくったり、
記号しか書かれていない本で視線を速く動かす
練習を要求している。

これは、人間には「文字があったら読む」という固定観念が出来てしまっていて、
これに逆らって視線を速く動かそうとするとき、
古くからの習慣が邪魔になってしまうからだという。

これをいちいち練習するのは面倒だし、また簡単にできる人もそう多くはない。

たとえ横書きの文章であっても、何とかして読者の視線を縦に誘導する方法はとれないものか。

同じ紙メディアでこれをやっているのが漫画だ。

>一枚絵と比べたとき、漫画にはコマ割という時間の前後を示す区切りがあるために、
より絵の中の視線をコントロールする必要があります。
>漫画を読んだ事のある人ならまず読み方を大きくはずすことはないですが、それでも変形ゴマや横長コマに縦並びのふたコマをあわせたときなんかは、どの順番で読むのかを指示する必要があります。
>昔の漫画ではコマごとに数字を振ってこれを解決したようですが、今となってはネタとしては使うことはあっても見る順番の指定のためではありません。矢印を使うというのも手としてはありますが、本当に見難いときや、シャレでやるのはいいかもしれませんが、全コマするものではないと思います。
>そんな漫画で視線をコントロールするのが、視線を誘導するテクニック「視線誘導」です。
>[ComicStudio](http://www.celsys.co.jp/community/csd20enjoy/mj05/index.html)より引用。



漫画というメディアでは、読者の視線はコマ割りによって、
またキャラクターの目線や動作線によって
誘導される。読みやすい漫画、「上手いな」と思う漫画は、
読者の視線の誘導が非常によくできているそうだ。

この視線誘導の手法には「文法」がある。新人作家の原稿で、
「何か、今一つ」という印象をベテランが持ったとき、
「ここが悪い」と指摘する部分は誰もが同じだという。

テキスト文章もまた、枠で囲ってしまうと印象が変わる。

1. テキストは、ただベタ打ちされているときは1行目の左端に視線が集中する。
2. ところが、1かたまりの文章が枠で囲まれていると、読者の視線は囲みの中心に集まる。
3. 囲みをいくつか縦に重ねると、読者の視線は自然に縦に走る。
4. それぞれの囲みを枝で結びつけると、その方向に読者の視線の誘導が可能になる。

挿絵のたくさん入っている教科書は、一見読みやすそうで、そうでもないものがたくさんある。

その理由は、おそらくは挿絵に視線が集まってしまい、
読者の視線が文章から「剥がれて」しまっているからなのだと思う。

>文章を文章として目で追うのではなく、一つの「かたまり」として認識してもらい、
文字を追うのではなくページ全体の流れを追ってもらう。その理解は漢字かな混じりの
日本語の潜在能力に賭ける。

ページの左上に主題をもってきたマインドマップのような
ページ構成を何とかとれないものかどうか、いまいろいろと試しているところ。

LaTeXでこうしたことを続けるのも、自分の能力からはそろそろ限界に近い。
いまさら「InDesign」を勉強する時間もないし…。