もっとえげつなかったのがトヨタ。勝利数では明らかにホンダに負けていたのに、途中から

ルール自体の改変を要求した。前半戦のホンダの勝利は無効試合か…という雲行きになった頃、
新聞の1面を買い上げて「**グループA1年目はトヨタ自動車が総合優勝**」の前面広告。

自動車競技の勝ち負けなんて、八百長でもしなければごまかしようが無い。それでも
ここまでできるし、メーカーともなるとここまでやる。

いい大人の技術者が、どうやったらルールの範囲を守れるかを考えるのではなく、

どこまでならルールを破っても大丈夫なのか**を真剣に考えるのが自動車レースの世界。

だから面白い。

##ルールを決めるのは主催者か?
もちろん、競技を主催する主催者はルールを決める。

参加者全員がルールを守って、想定したルールの中で競技してくれれば、
主催者としては一番都合がいい。

小学校の運動会といった、競争の目的が「楽しむこと」で、実世界の利害が
加わらない場所で開催される競技ならば、ルールはそのとおりに守られる可能性は高くなる。

ところが、
残念ながら利害の絡まない競争というのはほとんど無い。

小学生の頃、近所の工事現場で泥合戦をするのが流行ったことがあった。
最初はみんな泥を投げていたけれど、すぐに
泥団子の中に石を混ぜる奴続出。流血沙汰になって、担任の先生が武力介入するなんて
しょっちゅうだった。**紳士協定なんて破るためにある**。そんなことは小学生だって分かってる。

奪い合いの無い世界でもまた、ルールは守られる。

バブル経済真っ盛りの頃。
経済の規模がどんどん大きくなっていた頃は、いい物を作りさえすればどんどん売れた。
膨らんでいく世界ならば、ルールどおりの努力はかなり高い確率で報われた。

今は無理だ。世界の大きさは限られている。勝つためには、誰かから奪わなくてはならない。
「いい」だけでは片手落ちで、「どう」いいのか、差を見せつける努力は欠かせない。

ルールは作られるけれど、すぐにそれは競技者に解釈される。抜け穴は突かれるし、ゲーム盤の外
では主催者の想定外の戦いかたがしかけられる。

ルールブックに記載されているルールと、ゲームに勝つための「真のルール」というものは、
しばしば大きく異なる。

##ゲームを構成する3つの要素
相手に勝つには、そのゲームの真のルールを知る必要がある。

ゲームという言葉の概念は広い。フィギアスケートやK1グランプリみたいな格闘技だってそうだし、
選挙や政治、戦争だって概念上はゲームの一つだ。

実世界でのゲームというものの真のルールを決定しているのは、以下の3つの要素だ。