自分が目標とする勝利の条件
ルールブックはルールそのもの。それをどうやって違反するかも含めて、ここまでは
狭義の競争の範疇。
「盤外戦」の主役になるのは、審判の技量の読みと、その操作。さらに、勝利の条件を
競技者が勝手に変えてしまうと、ゲームの存在自体を無かった
ことにしたり、あるいは負けたゲームの結果を最終的に「勝ち」に持っていくことすら
可能になる。
##審判の技量の問題
前のブッシュ vs ケリーの大統領選挙。
ルールブックに書かれた範囲の競争では、ブッシュ陣営の勝利は危なかったのだそうだ。
ブッシュ大統領の経歴や政策面、人気といった、大統領選挙のルールブックに
記載された部分では、ブッシュはケリーに勝てないと言われていたらしい。
ブッシュ陣営の取った戦略はシンプルなもの。
>頭が良いケリーは冷たいリベラリスト、
「お茶目な」ブッシュは暖かいキリスト教徒。
キリスト教を信じるなら、テロリストを憎むならブッシュへ投票を**。
こうした2極分化のキャンペーンを張って、インテリ層の少ない州を味方につけた。
選挙という競技で審判役をやるのは有権者だけれど、選挙エージェントの人たちが
まず行う準備の一つが、**その地域の有権者のインテリジェンス**の評価なのだそうだ。
前の大統領選挙では、ケリー陣営は「有権者は頭がいい」という戦略を選んだ。文化人のインタビューや
応援演説を投入して、ブッシュ批判の映画(一応関係無いらしいが…)を公開して、政策面での
民主党の有意性をアピールした。
ブッシュ陣営は、アメリカ国民のインテリジェンスをもっと低く設定していたように見える。
有権者全員が法律学者なら、政策の優秀さを唱えた民主党が勝利したかもしれない。
ところが、「審判」としてゲームに参加する人には、いろいろな人がいる。
審判の技量の読みと、それに合わせた戦略の選択という点で、今回の共和党は
民主党を上回っていた。