HbA1Cが6まで下がったら、今飲んでもらっている薬をもっと「体にやさしい」タイプに変える予定です

データが良くなったこと。病気が「治った」方向へ向かっているのは偶然ではなく、
いろいろなことが想定内で進んでいるのだということを明示的に会話を進めると、けっこううまくいく。

##コーラを飲む糖尿病患者
ジュースを控えてくださいといわれて、ソーダやコーラを飲む糖尿病の人。
ようやく人工呼吸器が外れたと思ったら、さっそく喫煙所に向かう喘息の人。

ちょっと良くなると、子供の薬をすぐに中断してしまう親御さん、
「お金は払うから、**注射一発ですぐに直してくれ**」と要求する患者さんも、たぶん根本的には同じ
思考回路で動いている。

こういう人達は、「元気だった頃の自分」、今まで死なずに元気にやってきた自分というものの
イメージを大切にしている。

医師が行う治療、あるいは、外来で要求する生活習慣の「改善」とか、「節制」といったものは、
本人達にとっては一番大事なもの、「今まで元気にやってきた自分」というイメージを
傷つけるものだ。

こういう患者さんは、基本的には保守的な人が多い。自分だけが(悪い意味で)特別だと
思いたくないから、今までやってきたことを変えることを極端に嫌がる。

無理強いしても反発されるだけだし、コントロールが悪くなったり、あるいは医者が
要求した「改善事項」を守らないと叱ったりしても、症状がよっぽど悪くならないかぎりは
聞き入れられない。

こういう人達にとって、大切なのは「進歩」とか「改善」などではなくて、
これまでの生活習慣に戻れるのかどうか。「他のみんな」と同じ状態に、
自分が戻れるのかどうかだ。

保守的な人に対する殺し文句として多用しているのは、
「**みんながそうやっていますよ**」という言い回し。
その薬を飲んだり、あるいは新しい生活習慣をお願いしなくてはいけない人というのは
なにも特別な人ではなくて、同じようなことをしている人は世の中にはたくさんいますよ、
という提案をしている。