主君を裏切ったり、敵から逃げるのは武士の恥

こういった「戦場のフェアプレー精神」みたいなものは、戦うこと自体が好きな人の発想だ。

>「主君のために、日本のために喜んで死にましょう」
>「負けても裏切らないで、潔くその場で死のうね」

こうした「武士道精神」は、
実際に戦わされる側、「勝つこと」が仕事の側には、迷惑極まりない。

##戦場でのフェアプレーはむしろ悪徳
戦場のフェアプレー精神というのは、実際に戦いには参加しない人達の発想だ。

戦いを好む人達は、兵士にフェアに戦うことを要求する。
常に勝つことを要求される現場の下士官は、まず「ズル」をすることを考える。

奇襲をする。相手の一番弱いところから攻める。
絶対に負かせる相手から確実に潰す。きれいも汚いも関係ない。勝てればいい。

現場の医者が EBM 論者に対して持つ違和感というのは、
彼らの要求する「戦いかた」というものが、
病気に対してあまりにも「フェア」だからだ。

戦争の中にある人は、「戦うこと」それ自体のことは考えない。
現場が欲しいのは、勝つ手段、あるいは生き延びる術。

それは外から見ると「フェア」でないし、卑怯な戦いかただから、面白くない。

フェアな戦いかたなんか、現場は求めていない。それを求めるのは、戦争に関係ない人だけだ。

##選択肢のない不幸