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15:18 Current Medical Diagnosis という教科書を買った。毎年改定されるあこぎな教科書。お布施支払うの嫌だし、電話帳みたいな洋書読むのは面倒なんだけれど、避けて通れない *Tw*
15:19 洋物の分厚い教科書とか、研修医向けの「ワシントンマニュアル」とか、アメリカ人が書いた教科書は、それが「どんな立ち位置を取り上げるのか」が話題になるし、みんながそれに右にならえをする *Tw*
15:20 抗生物質のガイドブックに「熱病」という漢字表記の洋書があって、これも毎年改定する。全世界で一番読まれる感染症の教科書だから、これに乗っかった抗生物質は、とてつもなく売上げがいいらしい *Tw*
15:22 本の 5 年ぐらい前まで、こんなガイドラインは普及してなくて、「熱病」使ってた病院なんて、うちだとか沖縄中部だとか、むしろ珍しいぐらいだった。今いる大学も使ってなくて、自分が持ち込んで、メーカーの人からたくさんサンプルもらって、今では当たり前になった *Tw*
15:22 ガイドラインとか教科書を、政治的に運用するという考えかたが、あるいは日本の偉い人達にはないのかな、と思った *Tw*
15:23 教科書やガイドラインは、「読んで理解して、さらにそれを無視する」のが日本流で、「有名なガイドラインです」なんて紹介しても、最初の頃は、笑われるだけだった。広まったのは、その教科書が、純粋に便利だったから *Tw*
15:24 洋書が「毎年改定」がほとんどスタンダードになりつつあるのに、日本の教科書は、歩みが遅い。忘れたころに出て、そんなに話題にならないまま、何となく売れて、何となく消える。 *Tw*
15:26 医学書の中で、突出した売上げを誇るのは、「今日の治療薬」という薬の本。医学書じゃなくて、薬のカタログ。多分その次ぐらいに売れてるのが、「イヤーノート」という国家試験対策の本。これも医学書じゃなくて、「国家試験に通るための本」 *Tw*
15:27 日本にも、内科総合の教科書はたくさん出ているけれど、もう何年も買っていない。それを読んでも、その立ち位置を飲み込むことに、あんまり意味を感じないから。 *Tw*
15:27 教科書を通じて医師としての実力をつけて、国家試験に通るのが王道。教科書には医学的に正しいことが、医学的に正しいやりかたで書かれてて、みんなそれ読んで、その内容を国試向けにアレンジして、試験に通る *Tw*
15:28 「イヤーノート」みたいな国試対策の教科書は、間違ったことをたくさん書いていて、医学的に大事なことより、国試に出るポイントを詳しく書いていて、それを読んでも医学的な態度は身につかないし、いい医師にもなれない。誰もがそれ分かってるけれど、みんなこの本を買う *Tw*
15:29 自分たちが国試受けてた頃までは、「イヤーノート」持ち歩いてると馬鹿にされて、学生はもちろん、教科書読んで勉強するのが筋だなんて怒られた。 *Tw*
15:30 でも国家試験は資格試験だから、 100 人中 90 人が同じ答えを書けば、それが仮に不正解でも、悪いのは受験者じゃなくて、問題作成者になってしまう。一つの教科書がシェアを伸ばして、今ではそれがスタンダードになった *Tw*
15:31 国試の方法論は全く逆になってしまって、もはや試験問題を書く人ですら、みんなが馬鹿にしきっていた国試対策の教科書を意識しないわけには行かないはずなのに、偉い人達は未だにこれを馬鹿にして、そんな本、世の中にないかのように振舞う *Tw*
15:32 あの人達は、「正しい教科書」を書く仕事をしていながら、その人達自身が、教科書というものが持つ力を一番馬鹿にしていることに気がついてない。 *Tw*
15:33 教科書というものも、 OS 戦争と同じように、戦略的な目標持って出版されないと、上手く行かない。「あんな教科書使ってたら駄目だよ」なんて馬鹿にするだけでは、いつか自分が時代から取り残されたとき、愕然とするはず *Tw*
15:34 自分達の業界は、もう何年も前からこの構図なのに、それでも偉い人達は、新しい教科書に見てみぬふりをするし、「正しい」やりかたよりもはるかに簡単な方法論作られた国家試験を変える努力もしない *Tw*
15:35 ルールや構造は本来、次々と変化していかないといけない。赤の女王仮説。歩みを止めた方法論は、滅ぶしかない。もうずいぶん前から、偉い人達は止まってるのに、何故だかそれでも滅ばない。既得権に乗っかってるんだろ、なんて言われても、しょうがない *Tw*
15:37 医療崩壊のお話というのは、やっぱり全部、医者側が悪いのかななんて思うことも増えた。少なくとも訴訟の話とかマスコミの話とか、あるいは予算の話とか、偉い人達が教科書を戦略的にドライブできてれば、発生しなかった *Tw*
15:38 裁判官は嫌いだし、弁護士の人とはコメント欄で喧嘩になったし、マスコミはやっぱり大嫌いだけれど、あの人達が何をやろうが、医療の業界は本来、今自分達でできることだけで、十分それに対処できた。政治力とかお金みたいな「実弾」すら必要なかった *Tw*
15:39 できることをやらないのは怠慢。要するに変化を嫌う人達が、社会の変化、方法論の変化を見ないふりしてたから、気がついたら取り返しがつかないところまで来てた。 *Tw*
15:43 イヤーノート使って、医学生が左うちわで国試に通る今の時代、それを卑怯だとか、そんなのではいい医者になれないとか、あまつさえあの本だしてる出版社責めるやりかたは、間違ってる。自分達が、もっとすばらしくて、読むだけで国試に通って、いい医者になれる本書いて、顧客を奪えばいいんだ ...
16:43 @hidekih 医療の世界なんかは、みんなが科学者の振りしてた時代から、インフラを守る技術者としての側面が求められるようになったのかな、と *Tw*
16:43 状況が変わったんだから、変わりつつある状況を運用するのも面白いのに。 *Tw*
16:44医療崩壊論壇」なんてラベルされてる人達は、だから自分達の役割モデルを見直す気概が全然見えない部分に、すごく違和感が残ったり *Tw*
18:31 去年診療報酬が改定されて、ベッドあたりの看護師数を一定以上に増やした病院は、入院基本料を増額請求できることになった。大きな病院だと、数億円単位の黒字。 *Tw*
18:32 大学とか、公立の大きな病院がこれに飛びついて、地域の看護師を自分のところに引きずり込んだ。うちなんかはあおりを食って、何人も引き抜かれた。 *Tw*
18:33 基準には、 10 対 1 と 7 対 1 との 2 種類が実用射程にあって、うちなんかは 10 対 1 がやっと。ベッド 10 床あたり、看護師 1 人。大きなところは人を揃えて、 7 対 1 を達成すると、補助金でウハウハ。 *Tw*
18:35 このあたりの基準が杓子定規だから、病院には変な戦略が発生する。人揃えてガンガン働くよりも、ベッド削って補助金狙ったほうが、儲けが高くなる。実際問題 7 対 1 を達成するのは大変で、公立病院の多くは、ベッドを削った *Tw*
18:36 今年になって、施設の審査基準が異様に厳しくなって、 7 対 1 達成してウハウハだった施設は、それがもらえなくなる可能性が出てきた。そうなると、 3 割増やした看護師は、そのまんま施設の不良債権としてのしかかってくる。公立病院だから、クビはありえない *Tw*
18:37 筑波の病院なんか、事務とか看護師とか、 1000 万円プレーヤーゴロゴロいるから、すごく大変らしい。辞めて下さいなんて頭下げても、もちろん誰も辞めないらしい。 *Tw*
18:38 ギリギリで基準を満たしてた施設は、それがばれると基準を取り消されてしまう、らしい。だから最近は余裕見せつけるために、みんなもっとベッドを削る。近くの公立基幹病院は、いま 100 床以上ベッド余ってるらしい。おかげで看護婦さん仕事無くて、すんごいヒマらしい *Tw*
18:40 @y_benjo 「公立」としか知らない。大学は無茶苦茶に安いはず。 *Tw*
18:42 人がたくさんいる病院は、看護手厚いんだから補助金増やすのはありなんだけれど、ルールの設定がずさんすぎると思う。おかげでナースの雇用は馬鹿みたいに増えて、この御時世なのに、ただでさえ赤字の公立病院は、それでもベッドを放り出して、補助金にしがみつかないと行けない *Tw*
18:42 大きな施設がみんなベッドを放り出したから、うちなんか今月に入って、内科の病棟は利用率 100% 越えた。一つのベッドで、午前と午後、 2 毛作するようなありさま。 *Tw*
18:43 なんというか、真っ当な商売やらないでもお金につながるルールは、そもそも作っちゃ駄目だろと思う。 *Tw*
18:44 こんなグダグダ見てると、やっぱりもう保険止めて、さっさと自由化したほうが幸せになれそうな気がする。健康保険の人達は、治療費の 7 割補助だけに徹して、あとは病院の自助努力に任せるような *Tw*
18:45 「いい医療がお金につながる」とか、「いい」の評価軸がこれだけ揺らいだ昨今、無理だと思う。「お金につながる医療がいい医療」のほうが、よっぽどリアル。 *Tw*
18:46 もっともそうなると、今ある公立病院なんかは、眼科と皮膚科であふれかえって、救急全部断るんだろうけれど。。。 *Tw*
18:48 情報構造もまた、建築と一緒なんだと思う。施主たる政府の人達が、「これだけの予算で、こんな医療を実現したい」なんておふれをだして、建築家に相当する経済学者が、おのおのメカニズムデザインを提案して、最後は「コンペ」を行って、制度を決める *Tw*
18:49 コンペの舞台では、善良な病院役の人が本当に儲けられるのかどうか、悪徳病院が悪いことしたとき、それを発見できるのかどうか、そのへんを検証すればいいはず。 *Tw*
18:49 悪いこと考えるのが得意な人なんて、経済畑にはたくさんいるんだから、相当厳密な検証もできると思うんだけれど。 *Tw*
18:51 @nash_bridges たぶんそのへんは、本当に何の戦略もなさそうなのが怖い。。 7 対 1 を取りにいった病院は、本来絶対潰しちゃいけない、官僚の「仲間」がやってる国公立病院ばっかりだから *Tw*
18:54 日赤みたいな大手も含めて、民間の病院は、そこまでの対価を支払えないから、どこも昔ながらの 10 対 1 看護体制。これは補助金出ないから、今までどおりあるベッド全部使ってぶん回さないといけない *Tw*
18:53 官僚の人達が潰したいのは、本来うちみたいな中小規模の民間施設。この制度はだから、あの人達が本当に医療をよくしたくて、あまつさえその制度をもっと「よく」しようとして、結果として仲間の首締めてるイメージ。目的がよく分からないからこそ、すごく怖い *Tw*
18:55 陰謀論を信じるためには、陰謀めぐらせてる人が、自分達より圧倒的に優れてるのが前提。今起きてることみてると、相手の知性をどこまで信じていいのか、ものすごく不安。あの人たちまさか、道徳とか良心とか、自分達が造ってきた嘘概念本気で信じて無いだろうな、なんて猜疑心。 *Tw*
19:09 @itati0 医療費削るだけなら、単純に診療報酬減らすだけでいいんですよね。。もちろん我々は困るんですが。むしろ彼らが、本当に何かよくしたいなんて思ってたら、すごく怖いな、と。
19:10 それは何となく、生物学知らない子供がカエルつかまえて「手術」して、本人はカエルに良いことをしたと思ってるのに、実際にはカエルの死骸が出来上がるような。。カエルの本音は、「ほっといてくれ」なのに
21:34 @Surfin サンフォードガイドは、それでも普及しすぎたので、もはやあれに従う以外の振る舞いできないような。訴訟対策として。そんな圧力読めなくて、先回りしてガイドライン作れなかったのは、日本の感染症医の敗北
21:35 オープンソースの教科書作れたらいいな、と思ってあれこれ作ってみたけれど、あんまり反響なかった。
21:37 帝京大学の諏訪教授とか、自分なんかよりも圧倒的に本格的な麻酔教科書作って、誰でも編集可能な形にして公開していたけれど、やっぱり「諏訪」の名前にみんなビビッたのか、誰も編集しなかった
21:39 Linux にみんな夢を投影したけれど、あれはあのプロジェクトだけが例外的に成功したのであって、群集知が何かを作るというのは、特殊解ではあっても一般解には成り得ない気がする
21:43 オープンソースのプロジェクトを推進した立役者は、案外いビルゲイツなんだと思う。あの人が、自覚的に「無様な悪役」を演じたからこそ、みんな頑張った。ジョブスみたいな「いい人」のアピールが上手な人がマイクロソフトにいたら、Linux は生まれなかった
21:45 シーンを牽引する人は、だから悪役なんだと思う。よい意味で空気読めなくて、改良の余地がある、ちょっとだけ劣ったデバイスを、それでも力技で実体化して、みんなに広めるような。最初から理想解提示した人は、たぶん世界を変えられない
21:47 「もか」という珈琲屋のマスターが、究極の珈琲求めて世界中さまよった時、カナダだかどこかで、「うちが終着駅だよ」というマスターに出会った。それはたしかに完璧な珈琲なんだけれど、飲んだ瞬間に満足してしまって、2杯目を飲みたくなくなるんだと
21:48 完璧さはだから、究極にはわずかに届かない概念で、本当はわずかな隙を作って、その空間で顧客を引っ張り続けないと、究極の何かには届かないんですなんて喋ってた。何の雑誌だったか。
21:51 @KaffeeBitte 自分たちの頃はネットがなかったので、コンビニエンスストアと交渉して、コピー機の脇にプリントの束を置かせてもらってました。。
21:51 @d00dle なんとなく、「仮想敵」が必要なのかな、と。未検証。