パニックの制御
何かの手段で相手を驚かせ、パニック状態に追い込むと、その人が普段持っているはずの判断力が低下する。
このことを上手く利用できれば、患者やその家族の意思をある程度コントロールできる。
パニックに陥った人は、その解決策としてより簡単なもの、簡単な答えに飛びつく。
その代表的なものが 「オレオレ詐欺」で簡単に示談金を払ってしまう例であるが、これも示談金の支払いが対象のできることでもっとも簡単に見えるからである。
高齢者、専業主婦といった詐欺の被害にあいやすい人たちは、パニックに陥りやすい。こういった人たちは患者さんの介護の主力になっていることが多く、退院の決定権を握っていることも多い。
対象をパニック状態に陥れ、その人が選べる最も簡単な回答が「退院の了承」である状況を作り出せれば、よりスピーディーな退院日の決定が可能になるかもしれない。
たとえばスタッフドクターと患者家族との間に家族と仲のいい研修医をはさみ、患者の退院が上手くいかないのは研修医のせい、とばかりに患者に聞こえるところで研修医を罵倒する。
うまくいくと対象が「自分たちのせいで研修医が怒鳴られている」という心理回路を形成してしまい、退院の交渉がスムーズに進む。
研修医の可能性は無限だ。使い方によってはその悲鳴さえも役に立つ。