委員会を作って、その月に「間違った」抗生物質の使いかたをした医師を告発する。

まるで革命前のソビエト連邦のような方法だ。権力で抑えれば、上から抑えている人たちは気分がいいかもしれない。現場で働いている連中には不満が鬱積する。いつか革命が起きるだろう。

幸い、病院という組織のスケールは、共有地の問題が発生する程度には大きいが、
個人の力で何とかできる程度には小さい。

感染症医が「病院中の医者と友達」になれるなら、共有地のジレンマは発生しにくくなる。

上からの正論で物を言われてもむかつくが、「友達の顔を曇らせる」のは、友人としてどうかと思う。
正しい知識や考えかたを共有できて、自分がその友達のおかげで頭がよくなったと、思えたら、
なおのことそいつの意見を無視できなくなるだろう。

「正しい」抗生物質の使いかたを病院内に広めようと思ったら、理論武装を整える前に、
冗談を言ってみたり、飲み会に付き合う回数を増やすようなやりかたも「あり」かもしれない。

いつも世界の誰かを敵に回すようなことばかり書いていては説得力が無いが、活発なコミュニケーションの結果生まれた「**みんな友達**」の状態は、きっと世界のいろいろな問題を解決してくれる。

昔も今も、そう信じている。