同じ文章には同じ絵を付けて、ボーっとしていても絵だけでも内容を追っかけられるようにする。

この頃参考にしたのは、熱帯医学関係のパンフレットや、
未開地にエンジンを売る会社(たしかヤマハ)などで用いている、
現地の人向けの操作マニュアルだ。

言葉が分からなくても、絵を見ているだけで大体分かる。
何をすればいいのか、絵を見て大雑把に把握してから文章を読むから、とても分かりやすい。

「2005病棟ガイド」というマニュアルはこんなことを考えながら作ったのだけれど、
意図した効果を出せたとは言いがたい。

「絵で分からせる」のは、思想としては間違っていないと思う。

それでも、自分には絵心が全くといっていいほどないので、図版は他人様のそれを
もらってくるしかない。どんな絵が「分かる」のかも評価できないから、
絵の素人が絵の入った本を作ろうとするのはやっぱり無謀だった。

絵で分からせるという考えかたを突き詰めると、[ピクトグラム](http://akkuns.fc2web.com/pik-2.html)
に行きあたる。これもまた深い世界があり、面白いのだけれど、
本の中で使うには無理があった。当時はまだレーザープリンタを使っていなかったから、
インクの乾きが遅いという問題もあった。

もう一つの方針、「頭を使わず読む」ほうについては、
[構造化チャート](http://www.miyagi-ct.ac.jp/ee/lecture/E2_00/chart.html)の考えかたを
使っている。

意思決定のプロセスを、言葉だけで伝えるのは大変だ。文章が長くなるし、ぱっと見て全体像を
把握するのは難しい。構造化チャートという技法は、このプロセスを出来るだけ整理して、
分かりやすく記載する方法だ。

いちばん有名なのはフローチャートなのだが、
これを使っている本はいくらでもあった。それではつまらないので、次世代型の構造化チャート
の一つとして発表されている、NSチャートというものを用いている。

フローチャート型式の記載については、一応「分かりやすい」という評価をいただいたのだが、
今度はPDF型式以外の媒体に変換するのが極めて困難になってしまった。
表ページのHTMLは、LaTeXで作ったものをLaTeX2HTMLというソフトで変換しているのだけれど、
あの図を載せるのには相当苦労している。

続く。