Wed, Feb 03
- 16:35 「補給」というものを考える。戦争するときに一番地味で、真っ先に無視されて、たいていこれで勝敗が決せられる、そういうもの。自分たちの仕事において、兵站に相当するものは何か。交渉においてはどうか。
- 16:36 医療の技術や診断能力、自分たち医師の「熱意」だとか「能力」に相当するものは、これは戦争で言ったら表舞台に相当する。火砲とか戦車とか。武器の延長。ここに兵站に相当する要素は入らない
- 16:37 たとえばそれは、病棟で言ったら、看護師さんたちの人数とか、その日の勤務シフト、人間関係みたいなものなんだと思う。それは「医師の関与するところではない」死、それを理由に仕事が滞ると「たるんでいる」んだけれど、オーダー書いて、抗生剤落ちるのが3時間後とか、これが原因
- 16:38 戦争において、食べ物というのはかさばるし、すぐ壊れる。武器に比べて軽視されて、しばしば奪われる。それを扱う人たちの士気とかモラルも、前線の兵士よりも「低い」と見なされる。たとえ最前線から1mのところまで届けても、最後の1mを超えられなかったら、意味がない
- 16:39 鉄道や道路は、最初の頃は、意味がなかったんだという。「駅」に食料が山積みになって、結局前線までの最後の一歩が超えられなかった。一本の道路で兵隊が突進していても、食料はかさばるし、トラックは往復するから、道路一本では全然足りない。
- 16:40 進軍ルートと兵站ルートは、だからしばしば設計が異なって、兵站は忘れられるらしい。ロンメル将軍が一見大成功して、あの戦車軍団が敗走したのは、頑張りすぎて、食料が追いつかなかったから
- 16:41 恐らくは患者さんの状態に合わせた、薬の一滴にまで気を使う医師は、もっとずぼらな、10人の患者さんがいたら、10人に同じような処方をする医師よりも、患者さんの予後を悪くする。医師の「能力」が、仮に高かったとしても
- 16:42 病棟看護師さんの能力が無限に高ければ、もちろん結果は逆転するはずだけれど、複雑な指示はミスが混じるし、オーダーは遅延する。必要なときに必要な薬が入らなければ、結果として、病気は良くならない
- 16:43 医師のオーダーに従えないのは、もちろんこれは「病棟の怠慢」だけれど、本来はたぶん、オーダーを出す側が、こうした兵站要素に気を配る義務があるんだと思う。それができない「名将軍」は、結局は「無能な病棟」を恨みながら敗走する
- 16:45 議論や交渉において、食料に相当するものは、やっぱり「プライド」なんだと思う。頭を下げるほどに削れていく何か。プライドの高い、削る余地の少ない人は、要するに食料なしで戦いに参加するようなものだから、どれだけ交渉技術に優れていても、すぐ負ける
- 16:46 「削る余地」をどれだけ作ってから交渉に臨めるのか。それはたとえば、交渉の目的をはっきりさせておくとか、「負けること」それ自体にも意味を持たせる、負けを負けでなく選択枝とするような自己欺瞞論理を作っておくことだとか。
- 16:47 交渉の本にそういうのあんまり書かれていないし、「勝つ交渉」の上手である橋下弁護士の本にも書いてなかったけれど、このへんはたぶん地味だけれど大切。あるいはあの人なんかは、攻めの上手だけれど、「食料」が少ないような気がする
- 16:48 「相手に敬意を払おう」とか、「真摯な態度で交渉に臨もう」とか、それをやるためには、まず自分自身が「お腹いっぱい」でないと無理。空腹で、飢餓状態で相手思いやるとか、そもそも無理。その状況で交渉して、上手くいくわけがない。
- 16:50 正しさに寄りかかるのは危険で、自分の能力に寄りかかるのはたぶんもっと危険。自分を肯定してくれる場所をどこかに作っておくのは、あれは「補給基地」になる。目の前の交渉と全然関係なくても、それがあるだけで選択枝が一つぐらい余分に思いつく
- 16:52 相手を100% 殺しに行ける手段を持っておく、考えておくことは、交渉を楽にする。「いつでも殺せる」相手には、人はたぶん優しくなれる。
- 16:53 正しいことを、誠実にやろうとする人は、だからこそ、あらゆる正しくないやりかた、あらゆる誠実でないやりかたに精通しておかないといけないし、それができて初めて、その人は一番効率のいいやりかたとして、正しくて誠実な方法を提案できる
- 16:55 「この人と仲良くなりたい」と思ったら、まずはたぶん、「この人を殺しきるために、自分は何ができるだろう」なんて考えたほうがいいんだと思う。そんなアニメがあった
- 17:05 兵站を一切持たない、大昔の軍隊は、あらゆる食料を現地徴発した。軍隊が進んだあとには荒れ地だけ残って、軍隊はだからこそ、食べるために、止まれなかった
- 17:06 「兵站を持たない人」どうしが交渉を行うと、プライドを、現地で、相手から徴発しないといけない。これは要するに、相手に対して小さな勝利を奪いに行くことに他ならないから、最終的に、嫌みの応酬みたいになって、止められなくて、交渉は兵站の不足で自壊する
- 17:07 「裏表のない誠意あるボク」が交渉に臨んで、こういう人は最初から相手にされないか、そこで初めて、自分が餓死寸前であることに気がついて敗走するんだろう。
- 17:17 @dokon 「相手がお腹いっぱい」は、奇襲の延長みたいな戦略で、もの喰ってるときに話しかけられると、抵抗するのが大変なのです。。それを仕掛けられそうになったら、今度は全力で拒否らないと [in reply to dokon]
- 17:18 @niku_name 余裕をどうやって作るのかが、交渉人の腕の見せ所というか、それがないとやっぱり厳しい [in reply to niku_name]
- 17:33 交渉の目的を、問題の解決に置く限りにおいて、相手の兵站を枯らす、心を折る、潰しに行くことは、交渉の成功を意味しないどころか、むしろ問題の解決を遠ざける。「食べながら戦う」兵士がいないように、相手の兵站にも気を配りながら、交渉は適切なタイミングで休止を入れないといけない
- 17:34 最後は手の届く範囲にあるもので何とかするしかない。鉄道も、大量のトラックも、イラク戦争においてさえ、補給の限界が軍隊の移動限界を決定した。たとえ「そこ」まで物資が来ていても、戦っている間は、「そこ」に行くことが、やっぱりできない
- 17:36 @orangewind 相手を潰しに行くのはスポーツであって、交渉とは違いますよね。。 [in reply to orangewind]
- 20:05 @_BEW 風邪薬のウォッカわりを作ると、ドキドキねむねむしておいしかったりするのです。。 [in reply to _BEW]
- 20:29 . @_BEW @n_kanezuka 体内アルコール消毒は、やっぱり効かないと思ったほうが。。
- 20:29 RT @koizuka: Reading 朝青龍が引退表明 : 大相撲 : スポーツ : YOMIURI ONLINE(読売新聞) http://bit.ly/9IHgK0
- 20:30 総合格闘技のほうに来ないかな。。
- 20:38 @odakin おお。。 [in reply to odakin]
- 20:41 @Merkmalz それこそものすごい経済効果だろうから、このまま終わってほしくないですよね。。 [in reply to Merkmalz]
- 20:53 @ogawaissui 空に比べて視界が圧倒的に狭いとか、地形の影響は風より強いとか。。あるいは人の命が重たくなりすぎて、民間人を轢いてしまうリスクが、空より圧倒的に高いからとか。。 [in reply to ogawaissui]
- 20:54 人件費が莫大になるけれど、医師をツーマンセルにして、「手」と「口」を担当する人と、「頭」と「記録」を担当する人とに分けると、見逃しとか、特に怠惰に起因する過誤がなくなると思う。ペアプログラミングと同じ。
- 20:55 心理学的な効果を期待するときには、「医師と事務方」ではやっぱり駄目で、対等な2人の医師でないと、たぶんペアを組む効果が出ない。高価すぎて証明することも難しいだろうけれど
- 20:56 最前線にたってもなお、人を殺すことに兵士はためらいを覚えるけれど、「仲間を護る」ために引き金を引くことは厭わない。戦場で最も多くの人を殺してきたのは、常に「組兵器」であって、個人用のライフルじゃないのだと
- 20:58 命令されるとちゃんとやる。診られているとちゃんとやる。ちゃんとやっていれば、ちゃんとやらないことに起因する過誤はなくなる。1人とペアとでは、「ちゃんと」の閾値が全然違ってくる。これは気合いの問題だけれど、気合い入れろって怒鳴るより、気合い抜けないシステム作るべきだと思う
- 21:03 警察の人質交渉人は、「指揮官」と「ネゴシエイター」を分ける。指揮官は交渉を行わず、ネゴシエイターは判断を行わない
- 21:08 @safsa 仕組みは大事なんだけれど、コストとの両立が大変。。医師ツーマンセルで外来2つ回したら、それだけで一億円かかるし。 [in reply to safsa]
- 21:24 @kazstar 「教授を手の側にする」なら有効かも。逆だと厳しいかも。お互いに不得意な分野を担当すると、不得意な範囲での最大効果が得られる。それはしばしば、得意範囲での最小効果を上回る [in reply to kazstar]
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