Tue, Oct 16

  • 14:39  危機にあたって、まずはリーダーを決定すること、メンバーに役割を分配することが、ごくごく早期のパニックを減らせるのだと思う。役割が分配されないと、危機と遭遇して、「みんなが戦士」になってしまったチームは、同じ方向にわっと動いて、分業ができなくなってしまう
  • 14:40  そこに集まった人たちが問題を認識し、目標を共有し、得意な分野を持ち寄ることで自然発生するのが分業だけれど、危機というのはそもそもが不自然な状況で、不自然なやりかたをしないと失敗する。
  • 14:43  リーダー、広報、渉外、記録、物品の管理と調達、当座の問題に当たる前衛、問題の調査と対応計画を練る参謀と、まずは暫定的に分けてしまうと、まずは強制的に人が分散する。理想には遠いけれど、2人いればいいところに10人集まる愚は避けられる
  • 14:45  リーダーが決まり、メンバーに役割が分配されたところで、現状と目標の共有が行われることになる。何が問題なのか。どうしたいのか。ワーストケースは何か。問題を解決するにあたって、時間と評判、金銭のうち、どれを優先し、どれを後回しにするべきなのか
  • 14:46  「頑張る」のはある意味当たり前のことで、「頑張れ」という言葉には、だから何の意味もない。リーダーが言葉を作る際には、だから「ここは手を抜いていい」を明示的に、あるいは暗黙に語らないといけない。全部頑張る状況においては、「ここの手を抜く」決断が、そのまま戦略になる
  • 14:48  対応はいくつかに分割される。直前にある問題への対処。その問題が引き起こす二次災害の回避。復旧の計画。災厄に巻き込まれた人への補償。そして通常業務の継続。それぞれに等しい緊急性があり、到達すべきゴールは異なってくる。
  • 15:18  有能に振舞おうとしてはいけないのだと思う。むしろ大事なのは無能を定義して、そこに近づかないようにすることであって。有能なリーダーやメンバーは、それぞれに有能を発揮する一方、無能と断じられた人はたいてい、ある種の典型に収斂する。総理大臣に学ぶのがいい
  • 15:20  役割を分配する方法。リーダーが発言すべき目標について。各役割のやるべきこと。直前の対処、二次災害回避、復旧計画。補償計画。日常業務の継続という危機対応の5つの側面について。それぞれの側面について、それぞれの役割が言うべきこと、果たすべき仕事が異なってくる
  • 15:21  RT @Ithaca_Chasma: @medtoolz あとは「時間を切る」のも効果的。役割と時間を区切られて「その中で最善を尽くせ」という指令があって初めて凡人が期待以上のいい仕事をするケースが多々あります。
  • 15:22  こういうのはたぶん、汎用のマニュアルとして事前に準備できる。やって来る危機は基本的に予測不可能なものだけれど、組織の大きさは最初から変えようがない。扱える問題の大きさや種類も、結局は組織の大きさが決定することになる
  • 15:24  標準化と事前準備が可能なものならば、それを教材として、金銭的な対価をとって販売することができる。PR会社の人達とか、そのへんノウハウ持ってないものなんだろうか。。
  • 15:26  でも、「原発反対、全ては東電の陰謀」と叫んでた人たちが、翌日から「マスメディアは韓国人に乗っ取られている。売国政府を潰せ」と叫んでもあんまり違和感ない。服着替えるみたいに極端から極端に乗り換える人はきっといるんだと思う
  • 15:27  @Ithaca_Chasma 締め切りって人を変えますもんね。。  [in reply to Ithaca_Chasma]
  • 15:32  「リーダー論」みたいなのってこう、本質を語って、細部は読者に任せるような文章がけっこうあって、逆だろうよと思う。「問題に対してリーダーは果敢に立ち向かい、変化する状況に対して柔軟さを失わないよう気をつけるべきである」とか。こういうのは何も言ってない
  • 15:34  むしろ論じるべきは、果敢なら、ある状況に対してどういうポーズを取ってみせるとまわりは「果敢」と判断するのか、「果敢」と「無謀」とは何が違うのかを書くべきだし、「柔軟」もまた、何が柔軟と受け止められ、何が「優柔不断」と受け止められ、じゃあどうすればいいのかを書いてほしい
  • 15:36  内面ってどうでもいい。危機管理みたいな場面においては特に。外面が全て。内面がきれいだろうが、外面を飾るのに失敗したら無能だし、真っ黒な人が白いお面を3日間かぶれれば、その人は3日間、白いリーダーになれる。本質なんてどうだっていい。取り繕うための詳細を知りたい
  • 15:37  @Ithaca_Chasma 問題を細かく分割すると、意志が少なくすみますもんね。  [in reply to Ithaca_Chasma]
  • 15:40  まず緘口令を敷き、全権委任状態を実現するための法律を調べ、根回しの上会議室をスルーして対処を始めた佐々淳行と、現場に乗り込み手を止めさせ、演説をぶって現場に内面からの奮起を期待した前総理と。じゃあどっちが成功に近いのか
  • 15:45  RT @raurublock: 「悲観は感情に、楽観は意志に属する」って良い言葉だが、誰が言ったんだろうと思って調べてみたら、エミール=オーギュスト・シャルティエだったか。すっごくフランス人らしい言葉 (というところも好き)
  • 15:46  RT @NATROM: 安心と信頼、実績の河北新報社の運営である「マイベストプロ宮城」では、「ホメオパシー認定薬剤師」のコラム。いくらでも出てきそう…。以前からこういう商売はあったのだろうか。 http://t.co/wbR0aEUZ
  • 15:48  そういえばムーの実用スペシャルって、月の波動とか銀の力を転写した水の作りかたとかやってたけれど、あくまでも「超常的な力が身につく」効能であって、「病気が治る」じゃなかった。医療スペシャルにしても「こういう医師が居る」であって「これが治る」でなかった。注意が行き届いてる
  • 15:55  プロの棋士がニコ生で解説や対極を行なってくれるようになった昨今、ネットの馬鹿に愛想を尽かして将棋に去った梅田望夫さんはどうするんだろう。。
  • 16:02  「事実を知ったのが右翼で、事実を知らずに騙されてるのが左翼」という定義は、ある種の真実というか、複雑な物事を簡潔に説明してくれる何かに飛びつく人たちはたいてい、飛びついた何かを正しいと信じ、そうでない人を反対側に置き、敵と断じる。「右」と「左」にはいろんな物が代入できる
  • 16:11  マニュアルに従い、外面を取り繕うことは、異なった意見がぶつかり合う聞き対応の急性期にあって大切になる。こうした努力が結局、自分の意見と自分の人格とを隔ててくれる。意見と人格を混同した人は、議論すると負けられない。時間が恐ろしく無駄になる
  • 16:12  マニュアルどおりの外面を取り繕うことは、危機対応に参加したすべての人が、「いつでも気軽に負けられる」準備をするということでもある。意見は「内面からの発露」であってはいけない。お面についたスピーカーからの音声で十分だし、むしろそうでなければ冷静な議論はできない
  • 16:14  RT @azukiglg: あと、取調官を「お巡りさん」「刑事さん」と呼ばず、名前で呼ぶ。可能なら毎回フルネームで読んで、名前を刻む。否認も相手の肩書きにするのではなく、相手の個人名に対してする。精神的に揺るがないために割と重要らすい RT @Ikehara: いろんなパ ...
  • 16:14  RT @azukiglg: 個人特定されると揺らぐのは、取り調べる側も同じで、「おまわりさん、刑事さん」だと「役職と組織が身分を守る」けど、個人名で呼ばれると取り調べる相手への精神的な優位性が揺らぐらすい RT @Ikehara: そうそう、基本的に相手を所属を無視した「 ...
  • 16:15  危機の時こそ逆に、チームのメンバーを「名前で呼ぶ」ことを禁じたほうがいいのではないかと思う。議論に負けたのは「広報担当官」であって、「先輩の鈴木さん」じゃない。ここを逆にすると、きっとおかしな方向に物事が転がっていく
  • 16:17  現地にいる担当官からの緊急報告を、どの程度の緊急性で伝えるのか、ヘタするとそれで戦争が決断されたりするような重たい判断が、「あいつはそういえば、俺が小便に立ったとき、トイレに付き合ってくれなかった」レベルのくだらない記憶で左右される。国家の命運がトイレにかかる
  • 16:19  外来で麻薬をほしがる人は、感情を事実に貼り付けようと試みる。おそらくは偽であろう痛みを訴え、調べもせずにそれを偽と断じたり、あまつさえ見下すような言動を行った主治医に対して声高に不快を表明し、主治医の謝罪を、処方箋に結びつけようとする
  • 16:20  取り調べを受けるときに、「担当官さん」とか「刑事さん」でなくその人の個人名を特定して呼称することで感情的な劣位を挽回できる、というお話に、こういうのはどこか近い。
  • 16:24  危機対応の本を書くのなら、各役割の分割と、それぞれの役割をになった人がどう行動し、その役割が取り繕うべき外面とはどうあるべきなのか、それに失敗するとどういうことがおきるのかを記載するのがいいんだと思う
  • 16:42  @mobrast それはいい言葉。。  [in reply to mobrast]
  • 16:42  @Ithaca_Chasma 有能を責任から切り離すことが、短期的にはいい結果につながるのでしょうね。。  [in reply to Ithaca_Chasma]
  • 21:04  危機管理とは、すでに起きてしまった不測の事態に対して、損害を最小化するために行われる、不自然なコミュニケーションの手段であるといえる。その不自然さは、チームのメンバーに対して、役割と責任とを明示的に分離することで、各人の能力を最大化するために要請される
  • 21:06  同じく時間が限られる状況であっても、不自然なコミュニケーションと、「急いで行われる自然なコミュニケーション」とは、同じ延長線上には存在しない。「自然なコミュニケーション」は、急ぐほどにたいてい、役割に対する責任が重くなる。重くなることで議論の時間が短縮される
  • 21:08  「自然なコミュニケーション」において、役割は各人の能力に応じて自然に決まる。あるいは能力の大きさが、役割と責任の範囲を決定する。不自然なコミュニケーションにおいては、まず最初に役割が押し付けられる。責任が明示的に排除された結果、役割の範囲で能力が最大化される
  • 21:09  メンバーの能力が、果たして役割にふさわしいものなのかどうか、決定のプロセスが不自然である以上、結果は常に理想に遠いものになる。その代わり、「役割の押しつけ」という不自然なプロセスは、役割から責任を排除してくれる
  • 21:11  自然なコミュニケーションにおいて、能力の高いメンバーは、大きな役割と大きな責任を背負うことになる。その人のリソースは、ある役割において、「能力」と「責任」とに振り分けられることになる。結果として自然な役割分担において、能力をフルに発揮できる人はいなくなる
  • 21:12  役割の押し付けと、明示的な責任の排除という不自然なプロセスは、「危機」という不測の事態だからこそ限定的に受容される。危機管理とはだから、ごく限定的な状況においてのみ受容される、不自然なコミュニケーションの手段であるといえる
  • 21:13  危機において、決定は常に、リスク回避的になされないといけない。火事場泥棒には誰だって敏感になる。この部分は多分、リーダーが最初に宣言して、なおかつメンバーに徹底しないと、あとから渉外担当が地獄を見ることになる
  • 21:15  危機に乗じて不自然なガバナンスを敷くやりかたは、多分に扇動的であるといえる。扇動は、チームの一番弱い誰かがポリシーに反した行動をした場所から破綻する。あるいは扇動はまた、当初の目的を違えてしまうと大義を失う。危機管理もたぶん、同じ場所から破綻する
  • 21:23  危機管理という不自然な場にあって、「リーダーが間違える」ことは、たいていは非難の対象にならない。非難されるのは「リーダーが決断しない」ことであって。だいたい誰も正解なんて知らないからこそ危機と認定されるわけで、間違えたってそれを間違えだと認識できる人がそもそもいない
  • 21:25  危機にあって、判断の成否を認識できる人は少ない一方、目的を違えたリーダーをそうだと見分ける嗅覚は、危機においては誰もがむしろ鋭くなる。危機管理の目的は「これ以上災厄を広げないこと」が全てであって、それ以外は火事場泥棒と認識される。どんな小さなものでも、「ついで」は許されない
  • 21:27  危機管理のガバナンスは極めて協力な、ほぼ完全な独裁に近い権限がリーダーに集中する一方で、その状態は極めて不安定でもろいものでもある。危機管理の大義が失われた瞬間、リーダーはあらゆる責任を問われ、その場から追いやられ、排除されていた責任がメンバーに戻り、チームは機能を停止する
  • 21:30  危機におけるリーダーの仕事は、逆説的に恐ろしく細かいものになる。目的は危機それ自体が決める。役割分担はマニュアルにあらかじめ書いてある。リーダーがやるべきことは、紙一枚、消しゴム一つに至るまで、大義に反した権限の濫用がないことを点検することになる。
  • 21:31  危機に対して部下を鼓舞しつつ、雄々しく立ってみせるのはリーダーの大切な役割ではあるけれど、よくできたマネキンを置いておけば済むものでもある。乱用の阻止は、問題解決に一番遠い仕事である代わり、リーダー自身がそれをやらないと、リーダーにそれが確信できない
  • 21:33  パウエル国務長官の自伝に書いてある、「リーダーはすごく細かいことまで注意できないといけない」という文章は、自分はこんなふうに解釈している。それを「現場の細かい決定に口を挟め」と解釈すると大失敗する。むしろ「いちばん口うるさい傍観者の目線をもて」と考えるべきで
  • 21:35  このあたりの話題、そんなに間違っていたり、逆説的なことを書いているわけではないと思うのだけれど、似たような論調の危機管理の教科書など、「これがいいよ」というのがあったら教えて下さい。。
  • 21:59  @shiraber 「ハーバード流」は、交渉に興味をもつ上では必ず通る道ですもんね。。  [in reply to shiraber]
  • 22:12  「一年生の潰しかた」と「責任転嫁の技術」を、なんとか分かりやすいマニュアル本にまとめてみたいのだけれど、こういう露悪っぽいのって昨今ますます難しい
  • 23:39  危機の際に表出する人間性と、危機にあって観客がチームに期待する人間性とはかけ離れている。問題を「人間的に」解決するのではなく、危機に際したチームは、まず真っ先に人間的なやりかたを放棄しないと、観客はチームの人間を、あたかも非人間的な道具であるとみなすようになる
  • 23:41  危機とは何か。あるいは、危機はチームに何をもたらすのか、危機と遭遇したチームはどんな変容を受けるのか、最初に定義したほうがいいような気がする
  • 23:48  @kumabcdefg 危機対応については、特に震災直後に政府の振る舞いを見ながら文章をたくさん書き溜めたりしたので、これを何とかまとめてみたいなとは思うのですが、自分のようなふつうの臨床医が危機管理を語る理由が、そもそも全くないんですよね。。単にそういう話題が好きだというだけで  [in reply to kumabcdefg]

Powered by twtr2src