2005-03-23から1日間の記事一覧

悪魔のささやき

医師という仕事を始めて何年かたつと、救急外来の研修医からコンサルテーションを受ける機会が増える。「**咳が出て発熱している患者さんがいます**」というコールに対して、 上級生が行うアクションはだいたい2種類。>**上級生A**:「じゃあまず病歴を取って…

医療経済?文句は厚生省に言ってくれ。

「患者さんのために医師が頭を使う」という行為は、本当に患者さんのためになっているのだろうか?検査を増やせば、同じ診断名に行きつくまでの医師の頭の負担は 確実に減る。同じ時間でより多くの仕事が出来る。負荷が減った頭のパワーは治療までのスピード…

夜中に顕微鏡を眺めながら頭を抱えるのは、もうたくさん。

耐性菌増えようが、うちの患者さんには何もおきませんが、何か?

「たぶんウィルス感染症だけど、病歴に湿性咳嗽があったからクラビットも併用しようか…。」

研修医を終えてもやることは同じ。昔の上級生と同じように、 研修医と一緒に理学所見をとり、検体を染めて顕微鏡をのぞく。ところが、その行為の目的は変化した。「診断をつけるため」から、CTを撮るため、広域抗生物質を用いる言い訳へ。「診察をする自分の頭…

「たぶん筋緊張性頭痛だけど、なんとなく左手の力が弱いような気がするからCT。」

**CRP?**ああ、愚か者の出す検査だね。CRP高値の疾患を全部挙げてごらん?言えないなら、出す必要は無いってことだよ…。

昔はこんなことを習ったし、自分達もそう教えた。 研修医の頃はそれでもよかった。自分達のやっていることは正義の治療。 大学は悪魔の手先の巣窟。上級生は神。神の決断は絶対。数年たって曲がりなりにも一人立ちするようになり、世界には徐々に問題が増え…

**チエナム?**あの薬、漢字では「知恵無」と書くんだよ?そんなの使ってまで、自分に知恵の無いのを公言しなくてもいいんじゃない?

**CT?**あれは診察も出来ない馬鹿者のための画像診断だ。本当に必要な患者だけ撮ればいい。