臨床研修

トラッカーになろう

軍の特殊部隊などのチームは、各々が分担する役割が違う。コマンダー:チームのリーダー。通信機器も携行する。 ブレイカー:ドアブリーチャーなどとも呼ばれる。突入の際のドアの破壊を担当。 シューター:突入要員。基本的にすべてのチーム員はシューター…

大学病院を出る人たちへ

最後はやはりこれで。おはよう、諸君。 ……あと一時間たらずで、君たち研修医諸君は市中病院へ向かって飛びたち、 史上空前の強敵と交戦する。時を同じくして、各地の大学病院も、日本中の 市中病院に対し同様の攻撃を行う手はずだ。諸君がまもなく赴く戦いは…

ローテーション終了

最初の病院に就職したとき、全てのレジデントは1本のハサミをもらった。これはCPR用の、患者さんの服を切り裂くためのもの。非常にごっついデザインで、実際のところ何でも切れる。見た目とは逆に値段は安価で、1本500円もしない。レジデントというものは丈…

有名病院研修医の予後が不良なことについて

有名病院で研修を受けた研修医が他の病院へ移ると、あまり幸せになれないことがあるらしい。自分が研修を受けた病院は有名でもなんでもないが、卒業後の研修医のその後が、必ずしも幸福なものではないことは伝わってきた。うちだけかと思っていたら、よその…

研修医制度見直し

ローテーション方式の研修制度がもう見直されるらしい。地方公立病院への派遣医師の減少の問題が顕在化してきたため、医師派遣システムとしての医局の力を見直し、現在のような卒業生の入局科選択の幅の広い制度を元に戻すという。この1年間、ローテーション…

研修医の勇気と責任感

勇気を育てる研修医教育において、もっとも重要な要素が勇気づけである。研修医の目には、上級生の能力は途方もなく大きく、有能に見える。そうした上級医に鍛えられながら、研修医は持ち前の勇気だけに頼って自分を支えている。この勇気を支えてやるのが上…

難民化した研修医の明日

ローテーション制度も、そろそろ施行後1年を終えようとしている。この制度は、研修医が全ての医局を見られる。仕事のつらそうな医局、教育をあまり熱心に行ってくれなかった医局は敬遠される。研修医同士の情報交換を活発に行えば、「勝ち組み」医局と「負け…

ゴールの設定

研修医を倒れるまで働かせるためのTips。某高校のマラソン大会は、かつて(今もか?)富士スピードウェイで行われていた。あのサーキットはバックストレートの長さで有名なのだが、サーキットを走って疲れ果てた頃、最終コーナーを回ってバックストレートに出る…

経験を物語として伝える

自分の経験を下級生に教えるには、カンファレンスよりも医局でのバカ話のほうが効果があるという話。 むかし、不信の病にとりつかれた王がいました。自分の妃すら信じることができないので、次々と妃をめとっては、翌朝殺してしまうのです。この王のもとへシ…

手に職のついた医者

研修医を育てるにはお金がかかる。研修医の手技には無駄が多く、一方給料だけはきっちり持っていかれる。自分が研修をさせてもらった当時、研修医が自分の食い扶持を自分で稼げるようになるまで最低3年、その間に病院が持ち出すお金は一人当たり2000万円程度…

臨床の型の伝達

当院には昔、外来見取り稽古というものがあった。救急外来をローテーションするレジデントは、1日のうち決まった時間は外来をやる上司の後ろに黙って立ち、ひたすら外来の様子をうかがったり、上司の処方箋書きを手伝ったりする。下級生からの「あまりにも理…

暗黙知の伝達

親切な説明や、詳細なマニュアルなどで伝えられるものだけが知識ではない。例えばある人間の顔を表現する場合、当人の顔が目の前にあれば「この顔だ」と説明できるが、その風貌を言葉だけで他人に伝えることは困難である。例えば誰かに自転車の乗り方を説明…

ペアプログラミングの概念を用いた臨床研修

研修医の教育は面倒くさい。スタッフも、シニアレジテントも、研修医の教育に割く時間はもう1ナノ秒足りとも増やしたくない。一方、研修医の成長には誰もが期待している。早く1人前の戦力になって、病棟業務をより軽快にこなして欲しい、自分達が日々行って…

医師の独り立ち

研修医を育てるにはお金がかかる。研修医の手技には無駄が多く、一方給料だけはきっちり持っていかれる。自分が研修をさせてもらった当時、研修医が自分の食い扶持を自分で稼げるようになるまで最低3年、その間に病院が持ち出すお金は一人当たり2000万円程度…

不公平な臨床研修

厳しい研修医生活の中にも楽しいことはある。治療のための手技、手術への助手としての参加、勉強になる症例の受け持ち、先輩医師からの実戦的な知識の伝授などなど。病棟の雑用係としての忙しい生活の中で、しばしば教科書では学べない興味深い体験が転がり…

履歴書に傷をつけない転職

この10年で8つの病院に就職した。この数が多いのか少ないのかは分からないが、ひとつの病院に勤務中に新しいドクターを迎える機会はもっと多かった。病院の所帯は狭い。内科の医局で20人もスタッフドクターがいるような病院はまれで、たいていは数人単位。何…

ローテート研修総括

研修医が病院内の各科を回るシステム、ローテート方式の研修システムは、そろそろ最後の4半期に入る。いままでいろいろな病院を転々としてきたが、この1年間は大学病院で研修医を迎える側からこの研修システムをみることが出来た。分かったことをいくつか。…

組織崩壊までの4つの段階

病院をはじめとする組織、あるいは研修医制度などの何らかの目的をもった制度が誕生してから、それが崩壊するまでの間には、その求心力の根源が4段階に変化する。すべての組織が同じ段階からスタートするわけではない。しかし、すべての組織は崩壊に近づくに…

臨床研修の勝利者はだれか

巨像も踊る風に。臨床研修はどういった病院で受けるのがもっとも賢い選択なのか、いろいろなところで議論が沸騰している。議論の流れは、どちらかというと市中病院での研修を選択した学生が勝ち組、大学病院に残った研修医は負け組みといった論調が目立つ。…

「研修医」宣言

・私は患者さんの役に立つためここに来ました。 ・私は患者さんのために日夜勉強します。寝る時間など要りません。 ・私は冒険心に富んでいます。困難な仕事であるほどやる気がわいてきます。 ・私は自分が聖職者であることを知っています。私の血肉は全て患…