コミュニケーション

人工知能に学ぶ説得の手段

##従来の知能の考えかたの問題点 知能があるとはどういう状態なのか。>人間は、一度外界からの全ての情報を受け入れて、脳がそれを処理して全ての命令を出す従来はこういう考えかたが主流だったけれど、知能を持ったと言えるロボットを作るのは難しかった。…

エンジニアは戦争が好き

昔話3題。厨房の頃、北海道の大学の工学部の人達とサバイバルゲームをする機会があった。>相手はもう強いなんてもんじゃなく、自分達は撃たれまくって穴だらけ。 >腕前のほうでも勝負にならなかったけど、なによりも武器の性能が違いすぎ。>* 「北海道の平和…

コメント欄について

先日の「不良外科医」様の書き込みについて当blog は様々な立場の医師のblog の中ではかなり偏った意見を掲載しており、 またコメント欄を開放しています。言い切り表現を多用すること、やたらと偉そうな、何もかも分かっていそうな 文体で文章を書くこととい…

印象操作のやりかた

空気を使った仕事のやりかた

空気を読もうとする人に対する批判が増えたような気がする。やっている仕事の影響なのか、 こうした意見には違和感を感じる。空気は役に立つ。少なくとも、自分が病院で仕事をするには。##医療は配分の問題 漂流する宇宙船に100人の人が乗っていて、次のステ…

コモディティ化の果てにあるゼネラリストの約束の地

##「専門化した総合医」に未来はあるか 専門家の時代だ。○○学会認定医とか、専門医とか。医療の分野でも様々な「専門家」が活躍して、テレビの報道でも腫瘍の専門医の少ないことが 非常な問題として取り上げられる。地方からは一般医が逃げている。自分一人で…

旅する医者の3つのスタイル

医者は旅をする。研修中のローテーション。大学を出てからの地方巡業。開業。部長と喧嘩。 アフガニスタンで井戸を掘るため。流れ着いたらずっとそこにいる奴。すぐいなくなる奴。「旅人」には2種類ある。慣れた旅行者と、不慣れな人と。不慣れな医者の「旅」は…

外来でトラブる2種類の患者

言葉の与える印象は大事だ。子供の頃から言葉だけは厳しくしつけられたから、人前で猫をかぶるのだけは上手だ。生まれた頃から、デフォルトは「ですます」調。一人称は「私」。学生の頃はそれでは弱いから、 一人称は「俺」。言葉ももっと乱暴なものに改めた。卒業…

地域で気分よく働くのに必要なもの(後半)

世界は変わる。社会も変わる。小さな世界は大きくなった。かつては世界の主役であった「近所同士の強い絆」は、 「遠くの人との弱い絆」にその座を奪われ、舞台の片隅に追いやられた。##過去は内包される 進化の過程においては、過去は捨て去られるものではなく…

体育会という議論手法

##空気が読めない人が増えている 正しい論理ばかりまくし立てたってしょうがない。議論というのは、論理だけでは勝ち負けは決められない。肺をみる医者。骨をみる医者。外科と内科。先輩と後輩。 集中治療室では、様々な立場の人が、様々な「**看板**」を背負…

マインドマップでお仕事

しばらく前からマインドマップでカルテを書いている。集中治療室には、いわゆる「カルテ」は担当する科の主治医がつける。ICUの医師は交代制なので、 その日の朝のミーティングから、次の勤務帯に引き継ぐまでの間の覚え書きをつけるだけ。 何かイベントがあっ…

転職先で教えてくれない3つのこと

##勤務先で「いい人」になるために 勤務する科を変更して1ヶ月。もともとの循環器内科から、いまは集中治療室。1年生の頃から、外科をやったり、救急をやったり。いくつもの科を転々としてきたけれど、もう慣れた。新しい職場に移るとき、迎えてくれる側は必…

ネットワーク化した病院の未来

##救急外来のつらさの変化 救急外来の当直空け、朝の5時ごろに煮詰まったコーヒーを飲む頃には 白衣が血まみれだったのは今は昔。地域の大病院に勤めるということは、その地域に住んでいる人たちの生き死にに対して、 無限責任を負うというのに等しいことだ…

患者の渋滞について

##直線道路でも渋滞は生じる 大学の研究者であった父親が、国土交通省に呼ばれたことがある。 当時の専門は、音響工学だった。問題点は、交通渋滞の対策。障害物のない道路で、なぜ渋滞が生じ、どう対策すればいいのか。渋滞中の車の振る舞いというのは、音…

最新の治療は最善ではないかもしれない

##医療の進歩は過去を内包している 医療は進歩する。診断技術。モニタリングの技術。新薬や、新しい治療手技。医療の進化のプロセスというのは、進化論で言うところの断続平衡モデルに似ている。進化は、長期間の平衡期と、短い急激な変化期とを交互に繰り返…

情報化はマンパワーの差を覆せるか

##マンパワーの差を覆すには 厚みで押し切るのが好きだ。圧倒的な物量でもって、相手に止めを刺すまで追い詰めるのが好きだ。大きさは力だ。マンパワーの乏しい組織、物量の乏しいチームというのは、 大きなチームにはかなわない。対立するチームの規模が数…

ベッドはどこへ消えた?

##ベッドが足りない 医療はどんどん自由化している。大きな病院、救急を断れないような地域の市中病院というのは、 患者さんの疾患を限定できる専門施設に比べて不利だ。小さくて、小回りの効く施設は、 一番「美味しい」患者さんだけにサービスの対象を絞れ…

先生に全てお任せします

医者みたいに生ものを扱う業界では、同じ事をすれば同じ結果が返ってくるとは限らない。 合併症は避けられない。結果責任を求められると、すごくつらい。人間相手の仕事には、絶対はない。特にそれが、生きる死ぬにかかわってくることならばなおさら。 全力…

中国にいってきた

##夏休み 動機は単純。パンダを見に行こう。準備なんか何も考えていなかった。先の読めない仕事。遠い先の予定をいれると、 予定直前になったとき、締め切り効果で判断ミスの可能性が増える。幸い、現地のガイドさんには**つて**があった。「いつでも大丈夫で…

文章メディアの限界と可能性(後半)

##内容と表現は分離可能か 文章メディアが表現する中身というのは、その物語の「内容」と、「文章の起伏」とに大別される。物語の内容のみ読み出す方法として、「斜め読み」に代表される速読の方法があるが、 そこで置き去りにされた「文章の起伏」とは、文…

文章メディアの限界と可能性(前半)

小説や漫画。映画やゲーム。作家や監督の「思い」や体験、意図といったものを伝える様々なメディアは、技術の進歩とともにどんどん増えている。メディアには、それぞれの特徴がある。長所や短所。得意分野や欠点。果ては製作にかかるコストや流通経路。考え…

共有地の悲劇

>ある村の中心に、広い共有地があった。村人はこの知の主に羊や牛を放牧するために利用し、その家畜の毛を刈り、乳を絞って生計を立てていた。 >共有地には管理人はいないので、誰もが自由に利用でき、放牧する羊や牛を増やしたことによって得られる利益はす…

冷えて縮んだ世界から医者はいなくなる

>業界は冷える。冷えてどんどん縮む。世界全体が小さくなるから、今までのベクトルで苦労をしても、 その努力が今までどおりに報われる可能性は減る。努力という行為にすら「**リスク**」が課せられるなら、そのリスクの分は、もっと別の方向に生かしたい。…

病院での正しいプレゼンテーション

医者の世界というのは、つまるところ個人営業の自営業者の集まりで、予算も企画も、自分の判断でやりたい放題。自己の能力の範囲でやれることならば、他人に自分の考えを分かってもらう必要も無い。医者同士、あるいは他の病棟スタッフ等の交渉の際に必要な…

同意書を取るときの注意

セールストークの方法論から。検査同意書をすばやく取るために普段気をつけていること。議論/論争は避ける議論は理性の働きを活発にするので、迅速な判断を妨げる。 相手の体験に合わせて話題を選ぶ。相手の話に逆らわないようにする。患者の正面に立たない…

外来患者の見分けかた

久しぶりに会った友人から、「お前、誰だっけ?」と言われると非常に凹む。相手の顔を覚えるのはコミュニケーションの基本。相手に顔を覚えてもらえないのは自分が相手にとって重要でないから。顔を覚えてもらえない外来患者さんは、主治医にとって「重要な」…

共同作業を達成する能力

一般内科医は、患者さんの問題点を「系」で考える。入院のきっかけになった問題は、必ず次の問題を引き起こす。内科医は、脳梗塞になった患者さんなら誤嚥性肺炎や脱水を心配し、心筋梗塞で入院した人ならば、今度は合併する腎不全や心不全に思いをはせる。…

コンセプト51

白い巨塔が小説として発表された頃、医師は自信に満ち溢れていた。患者さんへのムンテラの際、医師は胸をそらし、両手を大きく広げて父権を強調し、「大丈夫。私を信じてください」と話すことで患者さんとの信頼関係を築き上げた。カリスマをベースにした信…

鉄火場を乗り切る言霊

救急病院の病棟は急変が多い。胸痛精査で入院した患者がショック状態、PCI中の患者のVf、喘息患者の急変などなど。患者の急変は予想できない。後から振り返れば予兆はあったのかもしれない。「そんなこと、予想しておくのが常識だよ」などと、当事者でない人…

相手からの信頼を得る

病棟で初対面の患者さん、またはその家族との交渉を行うとき、まず行わなくてはならないのが相手との信頼関係を築くことだ。相手からの信頼を勝ち得なければ、入院後の患者さんとの会話はぎこちないものになり、こちらの下す決断の全ては疑いを持って見られ…